平成22年度 AFLA活動報告


1.フィリピン、マニラ食道発声指導者養成研修報告 


本件のマニラ研修は独立行政法人郵便貯金・簡易保険管理機構からの助成金にて実施しました。
 下記2回の研修をフィリピンのマニラにて実施しました。

フィリピン・マニラ
フィリピン・マニラ

①  実施場所:

      フィリピン・マニラ セント・ルクス・メディカルセンター
       研修日程:平成22年11月22日~平成22年12月5日
        (会員延べ数352人)
          講  師:日本人指導員派遣者 3名
        (安藤増雄、栃木芙美子、太田時夫)
 ② 研修日程:

      平成23年2月14日~平成23年2月28日(会員延べ数360人)
   講  師:日本人指導員派遣者 3名

                           (安藤増雄、斉藤康夫、木村 孝)      

◆ 研修実施状況及び効果 
  フィリピンのほとんどの喉摘者はタバコが原因で日本などと違い喉頭癌の減少はなく、増加傾向です。貧困層の多いフィリピンでは喉頭摘出手術を受け音声機能喪失の患者さんの多くが高価なELでなく食道発声に熱心に取り組んでいます。マニラでは現在のところ食道再建手術は行われていないのか会員は全て単純喉摘者でした。


  フィリピンの喉摘者団体は、エメール会長を中心に病院の耳鼻科の医師や会員および家族がしっかり支えています。現在は食道発声指導員2名、EL指導員1名と少ないので多くの島々を抱えるフィリピンの隅々まで指導が及ばず、マニラに限定した活動になっています。研修を受けた40名をクラス分けした結果、会話が可能な9名を上級クラスとして、原音がやっと出る会員中級クラス11名、全く声が出ない会員20名を初心クラスに分けました。上級クラスの9名は発声力も指導意欲もあり、今後は指導員としての活動を期待しています。今回初参加の初心者20名も真剣に研修に打ち込みほとんど全員が原音発声が出来て、2音~3音の言葉が可能になった会員も数名見られました。中級クラスは時間が掛るが将来は指導員も期待されます。上級クラスの9名全員が指導員の希望を意思表示しました。今回参加会員の中には会場まで来るのに16時間も要した人もいて、どうしても声を取り戻したいという意欲が感じられた研修でした。


  2回目、2月の研修では全員、飛躍的な上達をしていたのには驚かされました。指導員の育成を最大の目標としていましたが、今回6名の会員を指導員補候者として会長に推薦する事が出来ました。6名共食道発声力がすばらしいので、指導員の心得、実技等の指導に専念出来ました。最後にベルモンテ先生・ロハス会長から感謝の言葉を頂きました。
 
2.中国 香港・広州食道発声指導者養成研修報告
 
 実施場所:香港喉摘者団体「新声会」 事務所と教室及び広州のホテル
  研修日程:平成23年1月11日~平成23年1月19日(会員延べ数206人)
  講  師:日本人指導員派遣者 2名(安藤増雄、松山雅則)       
 
◆ 研修実施状況及び効果
  香港はアジアの中では比較的豊かで、教育レベルが高く喫煙者は減少しているようですが中国からの流入者も多く喉頭摘出者が減少するほどにはなっていないようです。食道再建者はほとんど胃の吊り上げで、多くはありませんが増えつつあります。
 
 香港の喉摘者の団体である新声会は会員2,800名の大団体で香港市街に専用の事務所と教室を持つ恵まれた団体です。新声会には週1回ずつの食道発声教室、EL教室、シャントの教室、タピアの教室の4つの教室があり、その他にも香港内に2箇所の出張教室を開いています。食道発声指導員のレベルも高く、上手な人も多くいますが指導要領などはまだ十分ではないようです。
 
中国国内の広州は香港から急行で3時間半くらいのところで香港新声会の支部が管轄しています。指導員不足で香港からときどき出張指導しています。我々も3日間の出張指導に出かけましたがやはり指導環境が厳しいためか、多くの会員さんは貪欲で56名家族20名が集まって熱心に訓練を受けてくれました。最初に全く声の出ない人をチェックして22名いましたが終わった時に20名の方が「声が出た」と手を挙げてくれた瞬間、大変充実感を味わうことが出来ました。