平成27年度 遠隔地巡回研修会


平成27年度の遠隔地研修会は日本財団の助成を受け予定通り終了致しました。


平成27年度 遠隔地巡回研修会の実施報告

 

平成27年度銀鈴会主催事業の一つ食道発声遠隔地巡回研修会は、食道発声法の更なる普及と離島者や交通不便等の諸事由から喉摘会の発声教室に通えない方々を救済し計画通り完了致しました。
本年も日本財団様から助成を受け多くの費用を賄う事ができています。助成交付審査委員会は無喉頭者食道発声の優位性と普及活動を非常に社会的貢献度が高い支援事業と評価を頂き継続して財政支援を受ける事が出来ています。
尚、本年4月には平成27年度の研修会開催状況と経費の使徒等幅広い監査を受け助成趣旨が生かされていると認められています。 
毎年の事ですが日本財団様には、この紙面をお借りし助成のお礼を申し上げます。
さて、我々無喉頭者に取って代用音声を習得出来るか否かで術後の生活の質を大きく改善させることができます。ご承知の通り銀鈴会では3つの発声法、食道発声、EL発声、シャント発声の教室を開催しておりますが何れの発声法にも長所と短所があります。
特別な器具や定期的なメンテナンスが不要で一番良いと言われる食道発声法でも習得時間が長く難しいと言う短所があるのです。しかし、今回の遠隔地研修会でもEL発声者から執刀医に食道再建したので食道発声は出来ないと言われているが本当ですか?
それでは試してみましょう・・・原音発声指導を受けて間もなく原音が出た時の本人の驚いた表情と周囲の感動を今回も体験出来ました。 
この事例のように、先入観を排除して食道発声に取組んで見たら上手く原音発声を獲得しその後の練習でも順調に発声力がつき、日常会話も可能になった方も居られます。
また、毎日の練習を欠かさず3か月も努力を重ねるもついに原音発声が出ず食道発声を諦めた方が、EL発声指導を受けたその日に人も羨む見事なEL発声を披露された方も居られます。
声帯を失いどのような代用音声の発声方法でも身体がそのコツを覚えるにはどうしても時間が必要です。しかし、習得に不安を感じた時は遠慮なく発声訓練士に相談して欲しいと思います。
さて、本年の開催地は島根・新潟・静岡3喉摘会です。研修会は3日間、最初に参加者の発声力を確認後、全体研修と個人別発声指導を繰り返し実施しています。
最終日には研修成果発表会を開催し獲得した原音を初めて人前で披露された方、癖の矯正を受け改善した方等、研修前とは一味違う発声力を聞かせて頂き今後の練習を約束してお別れしました。


各地の報告


島根県清音会


1. 派遣講師 秋元洋一・川村二三男・矢代三江
2. 開催時期 平成27年10月27日から29日
3. 開催場所 ホテル武志山荘 会議室
4. 参加者 生田正春会長 他延受講者71名
5. 総評
参加者が清音会以外の近県各会から出席されており、食道発声に対する基本知識を全員で共有化してから研修を始めました。 
原音発声練習では、脳梗塞を患い誤嚥回避の為に気管切開を受けた方、主治医から食道発声は無理と言われ止む無くEL発声法を身に付けた方が食道発声にチャレンジして大変熱心な発声練習に取り組み見事初日に原音発声がでました。
2~5音程度の発声者には、同一音の繰り返し連続発声を実践して貰い確実に息継ぎと発声力が向上しました。
最終日の発表会も和気藹々の和やかに修了し今後も毎日の練習を約束し終了しました。


◇「遠隔地食道発声研修会参加者の意見と現状」
                                                                                               島根県清音会 会長 生田正春


昨年10月の3日間、中・四国地区からの会員も集まり遠隔地研修会が開催されました。私自身過去に参加した経験を生かせる研修会でもあります。参加者は手術の形態や発声の習熟度に合わせた指導と的確なアドバイスに、うなずいたり汗を流したりしながら有意義な時間を過ごす事が出来、改めて日々の練習の大切さを知る事が出来ました。
研修成果として発声がスムーズになった方、全く声が出なかった方も原音発声が出来るようになりました。
今回、参加出来なかった方からも今度近隣地域で開催される時は是非参加するとの話を伺いました。又、離島の会員で日頃の発声教室に参加し難い人等が発声訓練を行う機会としてこの遠隔地研修会を有効活用すれば、研修会の新しい一面がみられると思います。先生方に厚く感謝申し上げます。


新潟県美鈴会


1. 派遣講師 新美典子・齊藤康夫・鈴木正子
2. 開催時期 平成27年11月17日から19日
3. 開催場所 万代シルバーホテル会議室
4. 参加者 小笠原留男会長 他延受講者64名
5. 総評
美鈴会はEL発声者が8割以上でありELの発声は皆上手でした。今回食道発声に挑戦された方もほとんど原音以上の発声ができ効果が見られ、基本と継続の重要性を理解して頂き今後の指導員及び会員さんのスキルアップを期待しています。11月27日の現地「新潟日報」の新聞に今回の研修風景が掲載されています。

 

◇「遠隔地研修会の開催報告」
                                                                                                新潟県美鈴会会長 小笠原留男


今回の研修会は、初心・初級クラスで、しかも食道再建者が多く参加しました。単純喉摘者と比較しても原音発声が難しく、地元発声訓練士も発声指導に苦慮していたところでした。しかし銀鈴会の講師の集中したマンツーマンでの指導で、原音が出て本人はもとより会員の大きな拍手を浴びて、その喜びと感激を実感されていた会場風景でした。
今後の発声訓練に大きな励みとなり、勇気と自信を与えて戴いています。
更には、中級・上級クラスにとっても誤発声(咽頭発声、口腔囁語)の矯正の仕方や夫々の癖・雑音の矯正方法についても、実演を交えた指導は地元発声訓練士の技能熟達にとっても大きな財産となっています。今回学んだ経験は究極の日常会話の習得と喉摘者が目指す「社会参加への道」に向かっての意欲を醸成する機会をつくって戴きました。
大きなご支援を賜りました日本財団と銀鈴会の皆様に感謝を申し上げて報告とします。

 


静岡県静鈴会


1.  派遣講師 松山雅則・太田時夫・大場知恵子
2.  開催時期 平成28年1月26日から28日
3.  開催場所 静岡県総合研修所もくせい会館
4.  参加者 石川武利会長他延61名
5.  総評
原音を獲得している人がほとんどでしたが、初級クラスでは飲込み音など発声時に気になる音がする人が目立ちました。中・上級クラスにも共通して言える事ですが空気をしっかり取り込み発声する事の重要性を理解して貰う事が出来ました。自分の声をしっかり聞いて、相手に負担のかからない発声をするためにいかに基本練習が大切なのか、腹式呼吸が必要なのかを理解して貰えました。また発声の仕組みなどの理屈も理解してもらいました。

 

◇「遠隔地巡回研修会」報告
                                                                                                     静鈴会会長 石川武利


現在県内各地で、食道発声訓練教室に通っている、21名が3日間の研修に参加しました。
初日早々に受けた、発声力チェックによりレベル別に分かれ、個々に応じた指導が始まりました。最終日、研修の成果の発表の場として、1分間スピーチを披露したところ、大半の会員が、上級クラスに認定され、初級クラスで指導を受けた会員も中級にと皆レベルアップを達成し、笑顔、笑顔で研修会を終わることができました。
また、今回の研修項目の中に、認定訓練士として必須要件である ・食道再建者への対応要領 ・誤発声の発見と矯正 ・雑音と悪い癖の矯正指導 等が含まれており、指導者、さらには認定訓練士を目指す者にとっては、資質向上につながる得難い研修会でした。  
静鈴会は、研修で習得した発声技術や知識を会員一同で共有し、会の発展に努めてまいります。
最後に日本財団様と銀鈴会様にあっては、財政負担までしていただき、静鈴会会員一同心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。


〈文責 秋元洋一〉