平成19年度 遠隔地巡回研修会


平成19年度の遠隔地研修会は日本財団の助成を受け予定通り終了致しました。


平成19年度 遠隔地巡回研修会の実施報告
 

◇ 全体の研修成果のまとめ
 鹿児島県鶴鈴会、熊本県天声会、群馬県群鈴会はいずれも交通不便な遠隔地で、特に鶴鈴会は離島が多く、なかなか鹿児島市内の発声教室へ参加できないような状態でした。
発声教室より遠隔地の喉摘者は、手術後1回~数回の指導しか受けておらず、理論的な食道発声の指導を受けるのは、今回が初めてという人もいました。また、群鈴会を除き、人工喉頭を使用する人が多い状況でした。
このような状況の中で実施された今回の遠隔地巡回研修は、成果の多い研修会であったと確信しています。

 


鹿児島県 鶴鈴会


鹿児島県 鶴鈴会
鹿児島県 鶴鈴会

1. 派遣指導員
    3名
2.  期   間 
     平成19年10月10~13日
 3. 場   所  
     鹿児島県社会福祉センター会議室
 4. 参 加 者
     宮永会長、受講者 延82名、同伴家族及び見学者 延2名

 5.総   評

今回の研修会は、遠隔地研修会の趣旨に沿った有意義な内容でした。また鶴鈴会の宮永会長の配慮ある企画によって、交通が大変不便な離島からも参加者がありました。
離島の参加者は、種子島3名、徳之島1名、悪石島1名、合計5名で、特に悪石島は人口約70名と少なく、村営の船便が週2便で時間も片道12時間もかかる遠隔地でした。食道発声の研修機会のない離島の方は全員ELを使用していました。
受講者12名の内、中級レベルの人2名、3~4音の人5名、声の出ない人5名でした。離島の方は勿論のことですが、研修生12名の方々は非常に熱心に受講し、真剣に発声訓練をされましたので、指導員の指導にも更に熱が入りました。
参加チャンスの少ない離島の方が多かったことから、新美専務の「易しい食道発声」の講義に始まり、個人別実技を重点に、熱心に訓練しました。

上級、中級、初心クラスと分けて集中訓練した結果、体調不良だった1名を除き、11名が大変食道発声が上達しました。
最終日の成果発表会では、研修前とは明らかに違う明瞭な発声を披露し、鶴鈴会の役員、指導員、付添いの家族から大きな拍手があり感動しました。
宮永会長の講評、副会長の閉会の言葉、研修会感想文や研修数ヵ月後の、会長からのお手紙で、今回の研修会に感謝の評価をいただきました。これも、鶴鈴会宮永会長の研修会の企画が良かった結果だと感謝しています。

 


熊本県 天声会


熊本県 天声会
熊本県 天声会

1. 派遣指導員
    2名
2.  期   間 
     平成19年11月25~28日
 3. 場   所  
     熊本県身体障害者福祉センター
 4. 参 加 者
     野口会長、受講者 延48名、同伴者 延3名

  5. 総   評

野口会長の熱心な呼びかけに応じて、初日は会員の3分の1にあたる26名が参加していました。その中で、EL使用者が8名、シャント発声者が4名で、平均年齢が71歳と食道発声研修会としては決して容易な条件ではありませんでした。
研修会は、まず初心クラスから上級クラスに至るまでのプロセスを説明して、次いで発声のレベル別に初心と上級に分け、お茶呑み法でデモンストレーションをしながら原音発声の指導をしました。その結果、全く声が出なかったELを使用していた方の原音発声獲得に成功しました。
参加者の中には、食道再建者が6名いましたが、手を押さえて発声する指導がなされていなかったために殆どの方が途中で諦めてELに移行していたようです。
今回の研修会で、入会初日という胃管吊上げの方が頸部を手で押さえることで、原音から5音程度の発声が出来るまでになり、頸部を押さえれば食道再建者も声が出ることを理解できたようでした。

シャント手術をしていた方のなかには、食道発声をマスターしたいと熱心に練習していた方もいて、「食道発声」を見直すきっかけを投じた研修会になったと思います。

 


 群馬県 群鈴会


群馬県 群鈴会
群馬県 群鈴会

1.  派遣指導員 
    3名
2.  期   間  
     平成20年2月10~12日
3. 場   所  
     群馬県社会福祉総合センター
 4. 参 加 者
     跡路会長、受講者 延45名

5.総   評

今回の研修会参加者21名のうち、入会1年未満が2名、2~3年が3名、3~5年が3名、10~16年が13名でした。
発声レベルは、日常会話にほぼ不自由しないレベルの人が7名で、誤発声の人1名、残り13名が単音発声から3音程度の発声でした。群鈴会の特徴としては、ELの使用者が大変少なかったことです。食道発声重視の指導の一端を垣間見た思いでした。
3日間の研修を通じて、ほぼすべてのグループで進歩が見られましたが、10年以上のベテランでは顕著な進歩は見られなかったものの、練習の大切さを引き出すことができたと思います。 原音の出ないグループ2名は、全員原音発声に成功、1名は2~3音、1名は5音発声が可能になりました。原音の出ていた5名のうち1名を除き5音から日常会話レベルまで進歩しました。
入会年数の短い会員さんほど大きな進歩が見られ、年齢別では60代以下の会員さんが良い成績でした。
また、最終日に行われた指導員向け、新美専務の講習は、今後の群鈴会の活動に大きく資するものと思われました。