良くある質問(平成29年度家族座談会)-Q&A-

銀鈴会では毎年2月に「家族座談会」を行っています。以下は平成29年度の家族座談会を項目ごとに分類したものです。

平成28年度の家族座談会      ▶平成27年度の家族座談会


=質問
=回答 
 日本気管食道科学会顧問・福田ボイスセンター長
 銀鈴会特別常任顧問の福田宏之先生
  <訓>訓練士 

 

発声に関する質問
〇食道発声
― 空気の取り込みについて ―
K・Kさん(70歳)空腸移植
口を開けたまま空気を取り入れることができないので、コツを教えてください。
〈訓〉空気の取込み方法は、呑み込み法、注入法、吸引法の3つがあります。初めて食道発声を始める方は、お茶を使った呑み込み法から始めます。お茶を飲むことによって食道を開かせ、同時に空気を取込みます。そしてその空気を戻すときに食道粘膜を振動させて声を出す方法です。うまくいかない原因としては、一つは、食道の入口を反射的に開く状況にするためにお茶を咽頭の入口まで持って行くのですが、これがうまくできていない。二つ目は、発声時に腹圧をうまく使っていない、などが考えられます。空気を吸い込むときは口の圧力も利用しますので、口を閉じて鼻から空気を取り込みます。コツを掴むまでは時間がかかる方も多くいますが、しっかり練習してコツを掴んでください。吸引法については※1腹式呼吸と吸引法の練習のご質問時に説明いたします。

 

― 空気の取り込み時の感覚がつかめない ―
M・Hさん(65歳)空腸移植
 食道発声の練習で、空気の取り込みの際のゴックンという感覚がなく、発声が空振りになってしまいます。また大きく息を吸い込んでいると、苦しくなって練習が長続きしないのですが、食道再建術の影響ですか。
〈訓〉M・Hさんには、先日お水を飲んで頂いたら、喉でしっかり飲み込んでいましたので、大丈夫だと思います。空腸移植されましたので、無意識のうちに水や空気を飲み込めているのかもしれません。もしそうなら、空気の呑み込みを注入法か吸引法に変えることをお勧めします。授業の際に、そのことを指導員に伝え練習してください。また、大きく息を吸い込んでいるときに苦しくなるのは、初心者に良くあることで「過呼吸症状」になってしまうからです。楽に発声できるようになれば解決すると思います。

 

― 空気がたまる 対策と練習方法 ―
S・Yさん(53歳)皮膚移植
 長く話すと唾がたまったり、お腹に空気がたまってしまい、空気を吸引できなくなり、話しにくくなります。対策と練習方法を教えてください。
〈訓〉いくつかの原因があると思います。一つは、その都度食道に入れた空気が発声する毎に少しずつ残り、お腹にたまってしまうことです。もう一つは、早口になり、しまいにはリズムを失い唾を飲み込むこともできず、無理して話し続けてしまうことです。このような状態が何度も繰返されると、お腹に空気がたまってしまい、これが食道に空気を入りにくくしている原因と言えるでしょう。そこで対策として考えられることは、無理せずに息継ぎをスムーズにすることです。しかし、この息継ぎが私達にとって一番難しいことです。練習方法としては、同一音の連続発声で同じリズムで繰返し続けることが良いと思います。また、歌・カラオケも息継ぎの上達に最適なのでお勧めします。それに空気を食道の奥まで入れないことも一つの対策だと思います。空気の量も少なめで、息継ぎを上手に行い、調整すると良いでしょう。自分に合った無理のないスムーズな息継ぎがポイントになるでしょう。是非試してください。

 

― ※1 腹式呼吸と吸引法の練習 ―
S・Mさん(64歳)空腸移植
 発声で息を吸い込むことが上手にできません。口がもごもごしてしまいます。
H・Zさん(84歳)単純喉摘
Q 腹式呼吸がうまくできない、時々空気が入らなくなる。良い方法はないでしょうか。
A・Nさん(78歳)空腸移植
 お茶飲み法なら発声ができますが、吸引法はなかなかできません。練習しかないとは思いますが。
〈訓〉空気の呑み込みはうまくできるが、吸い込みができないと考えたら良いのでしょうか。私達の身体は、無意識のうちに空気を吸い込めば直接気管孔に空気が入りますが、発声するには気管孔に空気を吸い込むのと同時に口、鼻から食道に空気を取り込まなければなりません。この方法が吸引法ですが、同じような質問がありますので、ここで吸引法についてご説明します。空気を吸い込むには、お腹を膨らませて臭いをかぐときのイメージで、鼻から空気を吸い込むように意識します。結果的に食道に空気を取り込むことができます。昼礼のときに皆で練習している方法です。これが出来ましたら食道発声は卒業です。根気強く練習してください。

 

― 原音「あ」が出ない ※2 腹式呼吸のコツ ―
K・Yさん(72歳)単純喉摘
Q 9月より通っていますが、声(あ)が出ません。どうしたら良いでしょうか。
A〈訓〉空気の取込み法がうまくできていないためです。今も練習を続けていると思いますが、お茶飲み法で確実に空気を取込み、「あ」の発声を根気よく続けてください。また、お茶飲み法をマスターしたら、※1で説明した腹式呼吸法を習得してください。腹式呼吸のコツとしては、仰向けになってお腹に厚めの本を載せ、気管孔の呼吸に合わせてお腹を脹らませたり、へこましたりして空気を取込む練習です。すぐにコツを掴めますので、練習してください。

 

― 空気の取り込みがうまくできない ―
H・Yさん(74歳)空腸移植
 空気の取入れが思うようにいきません。
 空気の取込みは、※1に説明した腹式呼吸法のとおりです。腹式式呼吸のコツとしては、※2のとおりです。日々練習を積重ね、腹式呼吸のコツをマスターしてください。

 

― 力を抜くコツ ―
Y・Sさん(70歳)単純喉摘
 発声しようとするときに、どうしても余計な力が肩に入ってしまい、スムーズに話せません。肩の力を抜くコツがあれば教えてください。
(訓)肩に力が入ってスムーズに発声できないというのは、明瞭に発声できないということだと思います。原因としては、発声の出だしに大きい声を出そうとして力が入ってしまうこと。手術前の感覚で話そうと思い、食道内の空気が足りなくなるからだと思います。まず、軽く深呼吸し、小さな声で話しの出だしの言葉を連続発声して気持ちを和らげます。うまく話そうと思うほど力が入ります。練習は本番のように、本番は練習のごとくの気持ちでやってください。あとは慣れることです。多少の失敗は良いのではないでしょうか。

 

― 雑音の矯正と上達について ―
I・Jさん(69歳)皮膚移植
 声を出すときに雑音が入ります。治す方法がよく分かりません。どうしたら良いか分かりません。また、空気の取入れ方に問題があるのか、5文字以上の言葉がうまく出ないときがあります。なぜですか。
〈訓〉空気の取り入れ時の雑音「ウグー」は、初心の段階では大勢います。呑み込みから注入法で空気を入れると、力が入って雑音が出てしまいます。まず、深呼吸をし、肩の力を抜いて時間をかけて空気を取込み、小さな声で良いですから、発声するようにしてください。力も抜けてゆっくり発声できるようになれば、雑音も気にならなくなり、注入音も少しずつ気にならなくなります。5文字以上の言葉がうまく出ないとのことですが、原因として、一つは空気が絶対的に不足して、5文字以上の言葉が出ないのです。長音練習を続け、1回の吸い込む空気量を増やすようにしてください。もう一つは、出だしで空気をたくさん使ってしまい、後の言葉を発声するための空気が、足りなくなってしまうことです。最初の出だしは小さい発声で空気を少なく使い、最後まで空気を持たせるように練習してください。意識して発声すればすぐ直ります。

 

― 健康面と発声練習意欲の維持について ―
I・Tさん(72歳)空腸移植
 退院後転倒、疲労感があり発声練習が進まず、意欲をどう取り戻すか思案しています。
〈訓〉食道発声はメンタルなところがあります。もっと今より上達したい。声を出して会話をしたい、との強い意識を持つことが大切です。持つことにより目標ができ、それに向かって発声練習にも意欲が湧いてくるでしょう。しかし、そこで気をつけなければならないのは、決して無理をしないことです。何よりもまず健康が第一ですので、身体の様子を見ながら、焦らず自分のペースで練習してみてください。きっと良い結果が出ると思います。

 

― 食道発声からELへの変更 ―
O・Aさん(82歳)皮膚移植
Q 思うように声が出ない。ELをやってみます。
〈訓〉私達が生きていく上でコミュニケーションをとることは大切なことです。伝えたいことは伝えて、周りの方からも面倒がらずに情報を伝えて頂けなければなりません。そのための手段として、ELをやってみるのも決して悪いことではありません。けれど、今の時点でOさんは上手に食道発声ができているので、もう少し頑張ってみてはいかがでしょうか。食道発声を身につけてから、EL発声を覚えるのも必要なことかもしれません。上級教室ではELの授業もあります。色々な場面で両方できるのは便利です。食道発声をある程度頑張ってから、ELに挑戦したらいかがでしょうか。


― シャントについて ―
Y・Kさん(64歳)皮膚移植
 医師はシャントを試してみてはとのことですが、食道発声とシャント発声が併用できるのですか。シャント手術後、また食道発声に戻せるのですか。シャント発声の長所、短所は?両方で発声の可能性を持てるのか?ご教示ください。
 根本的に仕組みが異なります。それぞれの長所、欠点を検討して決められたらと思います。シャントは発声の取得は早いですが、日常のメンテナンスが大変です。シャント手術後に術前の状態には戻せます。

 

日常生活に関する質問
― 飲食の不具合 飲み物を戻す ―
K・Kさん(70歳)空腸移植
 飲み物をよく戻すが、どうしたら戻さないようにできるか。
 繊毛運動によるものだと思います。繊毛運動は、食べ物をベルトコンベアーのように乗せて食道に運ぶ働きをしていますが、そのために必要なのは粘液なのです。粘液が繊毛の上に乗って動くのです。空腸の繊毛能力は非常に高く、食べ物を載せて食道に運ぶのです。粘液がなくなる乾いた状態になると食べ物をうまく食道に運ぶことができなくなります。主治医に今の症状を説明し、治療法をお願いしてください。

 

― 飲食の不具合 うまく飲み込めない ―
Y・Sさん(67歳)空腸移植
 食道癌、下咽頭癌、舌癌の手術をしました。食べ物の飲み込みがうまくいきません。食べ物の飲み込みの良い方法はありますか。
 言語聴覚士による嚥下のリハビリを受けているようですが、嚥下障害になる人の特有の姿勢があります。椅子に座り背もたれを置いて首をそる姿勢が良いといわれています。言語聴覚士に話し、嚥下のリハビリを続けてください。嚥下障害を持っている人は、原則的には柔らかい食べ物にとろみを付けてゆっくり食べることをすれば、逆流も防げて詰まってしまうこともないと思います。

 

― 飲食の不具合 うまく飲み込めない ―
H・Yさん(81歳)空腸移植
Q 手術後少しずつ飲み込みが辛くなりました。近頃は戻したりします。発声と関係ありますか。食欲が戻りません、元通りになるのでしょうか。
 この症状は良くありがちな症状で、特別悪い症状ではないと思います。手術後間もないので、過度に心配しないで気楽な気持ちを持ちましょう。時間の経過と共に治っていくと思います

 

― 飲食の不具合 食べ物が喉に詰まる ―
M・Hさん(65歳)空腸移植
Q  手術後1年以上経過していますが、食事の際に頻繁に食べ物が詰まり、飲み込みができなくなるため苦労しています。 飲み込む際は水物で流し込むようにしていますが、この状態は徐々に解消されますか。
A  新しく作られた食道が狭いために起こる症状です。あまりにも飲み込みしにくければ、入孔部の検査をしてください。狭ければブジーを使って広げることもできますので、主治医と相談してください。※3ブジーとは、プラスチック、ゴムなどで作られた柔らかい棒で、食道に挿入し、狭窄部分の拡張に使われるものです。この方法でも拡張できなければ再度の再建手術になってしまいます。

 

― 飲食の不具合 うまく飲み込めない ー
Y・Tさん(68歳)空腸・胃吊上げ
 空腸移植の後、食道がんで胃管吊上手術をしました。手術後、食事がうまく食べられない。食べると胃が痛くなる。味、においが感じられない。
 担当医は食道が少し狭いといっているようですが、食道の狭さは食道の内視鏡で簡単に分かるので、診てもらってください。とろみを付けた食事でも支障がある場合には、ブジーを使って食道を広げることもできます。主治医に相談しにくいことがありましたら、青山の福田ボイスセンターまで予約を入れて相談に来てください。ブジーの使用については※3で説明しています。

 

― 飲食の不具合 飲み込むと鼻から出る ー 
K・Kさん(77歳)空腸移植
 飲み物を飲むと、鼻から出てしまうので辛いです。
 食べた物が新しく作られた食道に入る前に鼻に来てしまうのではと思います。原因としては食道が狭いのではないのかと思います。主治医に相談して、狭いかどうかを診てもらってください。狭くなければある程度我慢し、とろみを付けた食事をするなど工夫してください。狭い場合には、食道開口部を拡張することができます。その方法については※3で説明しているとおりですので、主治医と相談してください。

 

― 飲食の不具合 飲み込むと鼻から出る ー
A・Sさん(77歳)単純喉摘
飲んだ水が鼻から溢れ出たり、飲食物が鼻の奥につかえないように、うまく飲み込むコツはありますか。
空気と食の通り道が別々となりましたので、色々障害があります。慣れるまで時間がかかるかなと思います。

 

― 飲食の不具合 逆流 ー
T・Kさん(70歳)皮膚移植
食後下を向くと、食べた物が逆流する。
食後極端に下を向くと逆流してしまうようですが、時間の経過と共に慣れてくると思います。もし胸焼けが原因で胃液の逆流であれば主治医に相談し、胃酸を押さえる薬を処方してもらってください。

 

― 熱い飲み物摂取時の空腸への刺激 ―
H・Mさん(71歳)空腸移植
 熱い飲み物を飲むと、移植した空腸の場所が熱いと感じる。エコー検査で異常は見つからず、担当医からは手術時に切断された神経が回復したためだろうと説明された。いつまでもこの状態は続くのでしょうか。
 医学的にいってしまえば、郭清手術、甲状腺手術で、大きな神経は避けるものの、見えない神経をやむを得ず切らざるを得ません。切断した神経は何年後かには再生されますが、再生されるまでの間、人によって様々な症状が起きます。移植した空腸が痛いとか、顎がしびれる、耳がしびれるなどの医学的症状が現れます。

 

― 鼻水について ―
T・Kさん(70歳)皮膚移植
 鼻水が止まらなくなるときがある。
 鼻水は人間にとって必要であり、誰にでも出る症状です。鼻水の色、濃さが普通と変わらなければそれほど心配しなくていいです。杉花粉症がある方は早めに診断してもらってください。

 

― ※4 痰について ―
S・Kさん(81歳)空腸移植
 痰(鼻水のような)は、永久に続くのでしょうか。
 痰については、永久に続きます。痰は私達にとってなくてはならない物で、痰は気管の汚物を押し流してくれる機能を持っています。痰の量は時間と共に減ってくると思います。


― 痰、鼻水について -
A・Sさん(65歳)単純喉摘
 気管孔からの痰が多すぎて困っています。鼻水もずっと出ています。
A 痰については※4でご説明したとおりです。鼻水は出て当たり前です。出ないと鼻がカラカラになりますので、受け入れるしかないのです。そのうち、慣れてきますのでうまく付き合ってください。

 

― 空気乾燥時の痰の対応について ―
A・Sさん(77歳)単純喉摘
Q 空気が乾燥して痰が干からびて、気管孔の内外にこびりつかないようにする方法を教えてください。
空気が乾燥して起こる症状です。主治医に相談して適当な軟膏を処方してもらい、気管孔の周りに塗ってもらえれば、ある程度改善されると思います。また気管孔の乾燥を防ぐことが大切です。加湿器などを使用し、部屋の温湿度環境を適切に管理してください。湿らせたエプロンを使うなどの工夫も行ってください。
(訓)痰が固まって付着するのは皆さんの共通の悩みで、かさぶたができると呼吸困難になります。吸入器の使用が効果的です。昨年の12月から吸入器を使っていますが、特に湿度が30%以下になったら必ず吸入することにしています。吸入用に薬剤を使用する場合は、必ず主治医に相談してください。主治医からは水道水の使用なら1日何回も使用できるとのことです。かさぶたも軟化してとれます。エプロンは水またはお湯で浸して使用することでも、かさぶたのこびりつきを防げます。銀鈴会でも携帯用の吸入器を販売するようになりましたので、ご利用ください。自治体からの補助金対象としている自治体もありますので、自治体窓口で聞いてみてください。もし医師の証明書を求められたら、主治医に相談してください。

 

― 痰を出す吸入器購入について ―
Bさん(年齢、手術方法不明)
Q 術後丸5年経ったが、この正月に術後初めて風邪をひき気管孔にこびりついた痰を出そうとしたら血痰が出た。痰を出す吸引器を購入したいが、医療用なので個人では購入できないと聞いていますが。
〈訓〉退院するときに吸引器等必要だといったら証明書を書いてもらって購入しましたが、全く使っていません。吸引器の使用は医師、看護師、介護士はできます。医療行為になりますので、我々は使うことはできないのではと思うが、詳しくは分かりません。

 

― 咳、クシャミが出て苦しい ―
H・Tさん(84歳)空腸移植
Q 術後半年がやっと過ぎました。時々咳ともクシャミともつかぬものが出て、1分くらい苦しくなるのですが、皆さんはそういうことはないですか。
1分続くのは大変と思いますが、気管孔に痰がこびりついたりすると出る症状です。身体が健康であれば、あまり心配ないと思います。乾燥した環境にならないように気管孔を保護してください。

 

― 飲酒の適量について ―
A・Oさん(69歳)胃管吊上
 退院するとき、お酒は飲んでいいかと尋ねたところ、先生が「まあいい」といった後「そうだ下咽頭癌はお酒も原因だからやめた方が良い」といわれました。どうしてもだめかとくい下がると、「自己責任でなら私は何ともいえません」との答えでした。銀鈴会に入ってから、飲んでいる人も多くいますが、私見で結構ですのでお考えをお聞かせください。
 下咽頭はないのでがんの発症は考えられません。中咽頭から下の食道への転移の恐れがあると思います。私見ですが、お酒は飲んで良いと思います。もちろん、反対する人がいますが、飲まないことによるストレスを溜めないためにも、ほどほどの飲酒は良いと思います。

 

医学・健康に関する質問
― AI技術を発声方法に応用 ー
Y・Aさん(60歳)単純喉摘
 同様にELの機械をもっと自然なイントネーションができるように、改良してもらえると助かります。
 過去に研究したことがあることとして、歯に振動センサーを埋め込んで振動音で発声する実験を試みましたが、センサーの埋め込み、電池の寿命、そしてマーケットが小さく企業が乗りづらいなどで実現できませんでした。これからも努力するので応援してください。

 

― がんの転移と再発について ー
N・Oさん(60歳)皮膚移植
 定期検診は3カ月に一度と間隔は広がってきましたが、呑み込みするとき少し違和感があります。(前からかも?)食道に転移する可能性はあるのでしょうか。また、ケアについて注意点を教えてください。
 食べ物の通過障害がなければ心配ないと思います。がんの転移ですが、経験上食道への転移はあまり頻度は多くありません。注意するのは肺を含めた空気の道の転移です。もし頸部にリンパ節があるとすれば、あるいは甲状腺を含めて頸部への転移が考えられます。1年に1回は胸部のレントゲン、CT検査など主治医と相談して受診してください。

 

― がんの検査と転移について ー
K・Tさん(90歳)空腸移植
 主治医が良かったので、余病も出ず本当に感謝しています。術後18年、年2回病院に通いましたが、もう大丈夫といわれ終わりました。感謝、感謝ですが、一度なった体なので別のところにがんが出ないか分かりません。それだけが心配です。
 術後18年経っていますので、がんの転移などを考えずに、これからも好きなことをやって人生を楽しむことが良いと思います。心配ありません、とあえていいたいと思います。

 

― 術後の通院と検査の頻度について ー
N・Tさん(74歳)単純喉摘
 担当医がこの4月で退職されるので、大病をしたらどうなるのかと思うと心配です。(転院もあるのでしょうか。)
 28年入会の方で手術からそう経ってないので、まだまだ少なくとも半年に1回、食道鏡、内視鏡、CT検査の診察が必要です。今までの先生に診てもらえないなら、その病院でこれまでの診察の情報提供を書いていただき、耳鼻科の頭頸部専門医を紹介してもらったらどうでしょうか。

 

― 風邪とインフルエンザの違いについて ー
M・K(68歳)単純喉摘
 風邪とインフルエンザ(A・B)との違いがよく分からず、症状がよく似ているので病院に行くのが遅れそうで心配です。
A 風邪とインフルエンザの違いについては、初期の症状では判断できません。2、3日経って熱、身体のだるさなどが強く感じたりしたときに普通の風邪でないと判断してください。今は色々なキットがありますが、綿棒を使って鼻の奥の粘液からインフルエンザウイルスを採取し、診断していることはご存じと思いますが、耳鼻科医からみると、今の内科医院での綿棒の使い方があまりにも乱暴で患者さんには辛い検査になっているように思います。

 

― 術後の空腸、耳たぶの痛み ―
H・Mさん(71歳)空腸移植
手術後、次の2か所が回復していない。1.移植した空腸を軽く押しても痛い。2.両耳たぶと顎がしびれている。医師からは、もっと時間が経てば治るだろうといわれたが、私だけなのか、他の人も同じなのか知りたい。
耳たぶか痛いのは理由が分かりませんが、銀鈴会の方も多かれ少なかれこのような経験をしている人がいます。時間が解決してくれるだろうと思います。

 

― 空腸移植手術による顎の痛み ー 
S・Mさん(73歳)空腸・皮膚移植
 28年7月に再発し、空腸移植手術を受けました。口の中に食べ物を入れると、右顎がジーンと痛く、未だに治りそうもありません。2~3秒くらいと短い痛みですが、治るのでしょうか。
 私がこれまでの診察で経験したことのない症状です。手術時の細かい神経を切断したことによる痛みと思います。処方する薬はなく、時間が薬だといわざるを得ません。

 

― 胃酸による喉の痛み ー
H・Tさん(84歳)空腸移植
 空腸手術をして食道の弁がないので、胃酸が上がって鼻の奥や喉がヒリヒリするのですが、日が経てば治りますか。胃酸の薬は飲んでいます。
 胃酸を押さえる薬と思いますが、飲んだら8カ月は飲み続けてください。あまり心配しなくて良いと思います。

 

― 喉の違和感 ー
E・Yさん(82歳)空腸移植
喉のむくみは減ったのですが、つっぱり感があります。食事のとき、喉を押さえつけられている感じです。この症状は時間が経てば和らぐのでしょうか。
手術後間もないので、時間が経てば和らぎます。必ず治ります。

 

― 気管孔の異常、血痰について ―
R・Nさん(73歳)空腸移植
 めったにないのですが、朝起きたとき気管孔の周りが真赤になっていることがあります。寝てる間に一時的に血痰が出たようです。心配ありませんか。毎朝起床時に鼻汁が出ます。黄色の濃いのも出ます。花粉症なのでアレルギー抑制剤(ザイダル)を服用しておりますが効果がありません。鼻汁を止める方法はないのでしょうか。
 めったにないことなら許せるかなと思いますが、血痰が出ていることを考えると、主治医に相談し、肺、気管支を精査する必要があります。鼻汁は粉症で感染が起きると黄色くなったり、緑色になったりします。これは鼻アレルギーの症状です。主治医と相談し症状を抑える処方をお願いしてください。

 

― 放射線治療と食道発声への影響 ―
Y・Aさん(72歳)皮膚移植
 放射線治療を受けていますが、食道発声についての影響と、特筆すべき点があれば教えてください。
〈訓〉放射線治療については、筋肉に何らかの影響を与え、堅くする作用があるようです。会員の皆さんの中にもY・Aさんと同じような治療をされ、食道発声を頑張っている方が大勢います。術後5年も経っていますので、放射線の影響を気にすることなく、今後も自信を持って食道発声を頑張ってください。

 

― 口腔底がん ー
D・Mさん(53歳)空腸移植
 舌の下にがんができて(今は舌の動きが悪い)、口も大きく開かない。
 今の症状は口腔底がんの症状ですね。がんの発症箇所を整形し、手術は終わっているということですが、やはり舌の動きが色々起きるのはやむを得ないでしょうね。主治医と十分に相談してください。

 

― 肺炎の予防について ー
S・Kさん(81歳)空腸移植
 2回肺炎になりました。かからないように注意する点をお願いします。
 肺炎については、喉頭がんに関係なく、周りの環境に影響を受けて肺炎に罹るものなので、一般的に肺炎予防の手法を励行してください。日常の感冒予防などに注意することが肝要です。

 

― 術後の検査と頻度について ー
25. A・Oさん(72歳)空腸移植
 手術後6年半経過し、半年ごとにCT検査、年1回食道、胃内視鏡検査、血液検査を受けていますが、ずっと続けないといけないのでしょうか。
 5年生存率という言葉はよく使われていますが、5年経過後も年に1回、あるいは半年に1回の診察は非常に良いことだと思います。血液検査ではがん腫瘍マーカーも含まれていますので、今後も今まで通りの検査を続けることをお勧めします。

 

― 術後のCT検査の頻度 ー
E・Yさん(82歳)空腸移植
 手術後のCT検査の頻度は?個人差はあるでしょうが、他の検査も含めてレントゲンを浴びる限度は年何回くらいですか。
 CTは浴びる線量が問題になりますが、年に1,2回なら身体に影響はありません。ただし、必要に迫られてCT検査が必要になったら、回数に関係なく主治医の指示に従うことが必要です。

 

― 気管支炎の予防について ー
M・Yさん(68歳)単純喉摘
 夏場、気管支炎に2度かかりました。気管支炎にかかりやすいのですか。予防するには方策がありますか。
 まず、気管支炎に罹りやすい体質かは特定されていませんので、個人の体質の問題ではないと思います。気管支炎、肺炎に罹らないためには、大気汚染などの環境下での予防、あるいは湿度対策による気管孔の保護などに気をつける必要があります。

 

― 睡眠導入剤の服用について ー
A・Sさん(65歳)単純喉摘
眠剤を飲んでいますが、3~4時間くらいで目が覚めてしまいます。
眠剤には睡眠導入剤などいろんな種類があります。よく寝られない原因を考える必要がありますが、喉頭がんになったからと、あれこれ考えない方が良いと思います。病院には睡眠外来がありますので、相談するのも解決の一つです。

 

― 歩行時の心臓のドキドキについて ―
Aさん(年齢、手術方法不明)
 空腸手術をしたが、歩くと心臓がドキドキすることがあるのですが、空腸手術との関連があるのか。気管孔で呼吸をしているので、酸素吸収が少ないのか心配です。
 酸素が少ないことによる症状とは思えませんが、念のために血中酸素濃度を測ることも必要かと思います。一般的には、喉頭、下咽頭手術が心臓に影響を与えることはありません。

 

(杉山 喬 担当)