平成30年度 AFLA活動報告


平成30年度インド(チェンナイ)研修会実施報告書
平成30年度のAFLA研修会は、南インド・チェンナイで食道発声研修会を実施しました。

 


 

開催期間  平成30年11月30日~12月11日

 

会  場  南インド チェンナイ市内 ASHANIVAS教会2階研修室

 

出 席 者  派遣講師  銀鈴会 AFLA専務理事  太田 時夫
                           指導員  齋藤 康夫
                           指導員  渡邊  操
         チェンナイ医師  Dr. マニ  他   4名
         セラピスト     7名
         通訳         9名
         参加者      会員 延べ   143名
                  同伴家族延べ   100名


研修目的  食道発声の指導と指導員の養成

 

研修及び前後の活動状況(一部敬称を略す)
     11月30日(金) 羽田国際空港に派遣指導員3名が20時に集合
           22時50分空路シンガポール経由チェンナイ空港に向かう

  12月  1日(土) 経由地シンガポール空港でタイヤ交換により約2時間以上の遅れでチェンナイ空港に向かう。

                               チェンナイ空港ではランデイングのやり直しをするなど出迎えの現地医師にご心配をかけながらも

                               無事到着。ハイアット・リージェンシー・ホテル到着後にDrラクシミ先生の計らいで同氏の病院を

                               見学後食事を兼ねて打ち合わせを行う
                  参加者:Dr.ラクシミ先生
                 派遣指導員 太田・齋藤・渡邊の3名
                  確認内容 1、研修会のプログラムと進め方について
                 2、研修会場の確認と送迎方法について
                 3、通訳者、参加者の人数など最新情報を得る

 

チェンナイの状況
 この研修会には、前回研修から引き続き、
  1) 食道発声の普及を実施する、徹底的な個人指導を行い会話力を向上させる
  2) チェンナイ地区に設立された喉摘者団体に対する指導員の育成と候補者を育てる
  の二つの目標がありました。

 

研修の主目的は、声を失って社会から取り残されている患者会員さんに、再び声を取り戻してもらい社会復帰を果たすお手伝いをすること。同時に、インドは広大な面積を持ち現在運営されている北インド地区ニューデリーの喉摘協会からは、南インド地区は遠く、この地区からニューデリーの協会に通うことは困難であり、指導員が南インドに遠征することも時間的、経済的にも困難な状況にありました。そこで、4年前にチェンナイ大学病院の医師Dr.マニを中心としてチェンナイに喉摘協会の設立に向けた取り組みがあり、日本から指導員を派遣したという背景がありました。その時の会員さんの中から、指導員が4人も誕生したことは、特筆すべき大きな成果だったと高評価を得たことにより、今回の派遣にもつながりました。
この研修を主催されたDr.マニが、CRRT財団の助成を得て開催中参加者の宿泊や食事の提供をするなどして、多くの遠距離参加者を集めてくれたことに感謝します。
しかし貧しさと交通の不便さから発声教室で訓練を受けられる人は、首都の一部の喉摘者だけに限られているようです。また、 一般の人が高額のELを買えないことは仕方がないにしても、金持ちであっても外貨の関係で輸入出来ない国もあります。 従って、多くのAFLA加盟国では、訓練を受けられるのは大都会の首都だけで首都以外での訓練は困難であるという状況です。今後、首都以外の地区でも指導員を養成し、教室を開設して訓練環境を作ることが望まれます。


7、研修初日
初日参加者26名全員を面接して発声力をチェック。

Aクラス……3音以上が出る人………5名
Bクラス……2~3音以上の人………5名
Cクラス……全く声が出ない人…… 14名

AB混合クラスとして太田専務が担当、Cクラスを二つに分けて齋藤が8名、渡邊が6名を担当する。

ABクラスは発声レベルの差はあったものの共通して腹式呼吸ができていないので腹式呼吸の練習を中心に行った。
発声のできないCクラスは、ともに「お茶のみ法」による原音発声訓練からスタートした。

 

※5日間の研修成果
(途中4名の参加者があり総勢30名になった)
  声が出なかった人   1名   原音が出た人     4名
  2~3音が出た人  13名    5音以上が出た人  6名 
  短文章が言える人   4名   指導員候補者           2名
                       合   計     30名


8、総括
今回は声の全く出ない会員と声が出る会員とに大別して研修を始めました。

声の全く出ない会員には、ほぼマンツーマンでお茶のみ法の実践訓練と繰り返しの練習、集中トレーニングなどにより、ほぼ全員が原音を発声することに成功し、2音~3音発声5音発声までレベルアップする人も出てきました。

上級では、2、3音しか出ない人と会話ができる人までの混合チームでしたが、腹式呼吸ができない人が多く、まず腹式呼吸の取り組みとそれに関連する吸引法の取り組みを実施しました。その結果、5音以上が発声できる人や簡単な会話ができるレベルになった会員も出てきました。


研修会には、毎日、Dr.ラクシミ他2名の医師が見守り、時に指導のお手伝いに参加してくださり、発声レベルの向上に大きく寄与してくださいました。また、毎回、言語聴覚士の卵である大学生も見学していて、指導員はもとより患者さんの訓練により多くの刺激を与えてくれました。それは、患者さんの情熱的な練習態度に表れていました。

5日間という短い研修でしたが、短い分濃厚な発声練習に取り組ませていただき、また患者自身も強い気持ちで練習するなど、大きな効果を生みました。最終的には全く声の出なかった会員18名のうち、17名が原音発声に成功しています(声の出なかった会員は、高齢であることと1日目以降不参加)。声の出た会員のうち6名が5音以上を発声できるようになり、うち1名は上のクラスに昇格しました。上級クラスでも簡単な会話ができる人が4人、指導員候補も2人というレベルまで向上しました。

 

最終日には、研修参加者全員が一人ずつ壇上でマイクを持ち、発声練習の成果を発表してもらいました。ほぼ全員が、声を発声することができるレベルでありましたが中には上がって声が詰まったり、力んだりして普段の力を発揮できない人もいましたが、多くの方は獲得した第2の声をしっかり、大きく発声して、会場から温かい拍手と感嘆の声をいただき、また涙ぐむご家族の方もいて、感動に包まれて発表会は無事に終了しました。その後、参加者に研修課程修了証が授与されました。また、Dr.マニより派遣指導員3名に記念品が贈られました。

Dr.マニより2023年を目途にまた計画するので来て欲しいとの強い要望をいただきこの研修会を無事終えました。
なお、参加者から研修会に参加しての感想文を提出していただき、全ての研修を終えました。
今回、研修参加者のうち2名が皮膚移植、1名が空腸移植などの食道再建者であったことから、再建手術も最近は行われ始めたとドクターに伺いました。全体的にはまだ少ない様子ですが、今後日本と同様再建者も増えてくると思われます。
ともあれ、指導する側が真剣熱心に基本をしっかりと教えれば、驚異的な発声力の向上がみられることを、肌で感じることができました。

 

◆参加患者会員の感想(一部)

◎日本から来てくれた指導員から学んだこと
1、癌で声を失った人がまた話すことができると自信が生まれました。
2、日本人の指導員を見て、声帯手術を受けてもまた話せると分かりました。
3、手術後でもいつでもどこでも行けると自信をもらいました。
4、このトレーニングは分かりやすくて、自分を信じられるようになりました。
5、ビデオでの発声説明も役に立ちました。
6、このトレーニングのいろいろなやり方が分かりました。
7、何回でも、空気をお腹に取り入れてから、吐き出すことで声が出ることが良く分かりました。

 

◎普段こんな病気治療が良くあります。でも手術後のフォローとリハビリがちっともありません。でも、CRRT(Drマニ先生が作られたボランティア団体)は患者みんなのことを大切にして、世話をしてくれました。そんなことに私たちがみんな神様に守られていると信じられます。通訳者と教師が我慢していて、患者のトレーニングのとき手伝ってくれました。ここの食事もとてもおいしかったです。日本人の先生が3名も我々の問題をはっきりわかっていて、私たちができるトレーニングを教えてくれました。将来、CRRTの活動を手伝っていきたいと約束します。