良くある質問 -Q&A-

銀鈴会では毎年2月に「家族座談会」を行っています。以下は平成28年度の家族座談会より抜粋しました。

 平成27年度の家族座談会      平成26年度の家族座談会


Q=質問
A=回答 
 日本気管食道科学会顧問・福田ボイスセンター長
 銀鈴会特別常任顧問の福田宏之先生
   <訓>訓練士

 

  発声に関する質問

― 空気の取り込み ―
Y・Yさん(70歳) 単純喉摘
 空気を取り込むことが上手くできません。喉で止まってしまいます。一度声が出ると続けて出ないのです。
 一息一声は出ているので空気は入っていると思います。見てみますと食道に空気が入りづらいのは、やはり全身に力が入っているように見受けられ、特に肩に力が入っているからです。力が入っていると食道が開きにくくなり、空気が入りづらくなります。できる限りリラックスをして、難しいでしょうが、自然に食道に空気を入れるのが一番のポイントです。最初は取り組みやすい、いつも我々がやっている一息一声の原音発声を、力を抜いて抑え気味に声を出してみてください。食道発声は、いかに力を抜いて少しずつ出すかがポイントです。連続発声は、数秒に1回ずつ発声し、少しずつ早めるようにしていきます。例えば、最初は5秒に1回「ア」「ア」次は4秒に1回「ア」3秒に1回、2秒に1回、最終的には1秒に1回「ア」「ア」「ア」を繰り返し、繰り返し練習をしていけば連続発声もできるようになると思います。大切なことは、いかに力を抜いて、リラックスできるかということです。その辺を踏まえて練習してください。<訓>

 

― カラオケによる発声練習 ―
Y・Hさん(60歳) 単純喉摘
 カラオケで声がよく出るという話をよく聞きますが、私の場合カラオケをすると逆に声がかすれてしまいます。なぜでしょうか。
 カラオケは息継ぎの練習には最適です。息継ぎが上手くいくと、素直にスムーズに声が出ます。もちろん腹式呼吸を忘れてはいけません。カラオケを正式な音程に合わせようとすると、どうしても高い声は大きな声で声がかすれるということですが、私も同じような経験をしたことがあります。カラオケは日頃、出している声より大きな声で歌ってしまいます。すると声が割れたり、かすれたりすることがあります。こういうことはカラオケだけでなく、日頃の会話でも同じことが言えます。大きな声で話をすると、やはり声が割れ、長く話をしているとかすれてきます。気にすることはありません。我々は元々十分な音量がないので、無理しない範囲で普段話しているままの声で歌ってみることを、心がけてみては如何でしょうか。<訓> 
 一般的にはカラオケは食道発声の助けになると聞いています。
 食道発声は無理をすると、声が出にくくなります。カラオケの伴奏に合わせようとつい無理をしますが、上手く歌うには無理に張り上げたような声を出さず、抑え気味の声で表情や動作で張り上げた感じを出すと上手くみえます。普通のスピーチでも無理に、大きな声を出そうとすると長時間のおしゃべりは難しくなります。1分2分はできても、長時間喋るには、無理をしないことだと思います。<松山会長> 

 

― 発声時の頚部の押さえ方 ― 
T・Kさん(67歳) 空腸移植
 空腸移植です。食道発声をするときに喉を強く押さえて発声しているのですが、1時間位練習していると、頚部に痛みを感じます。医学的に何かの弊害はないのでしょうか。
 頚部への弊害はありません。押さえ方の工夫をする。逆に皆さんはどうですか、練習は1時間ぐらいのものですか、その間、ずっと押さえたままですか。
 空腸移植をした人たちは、押さえないと声が出ません。頚部もそうですが、押さえた指の方が痛くなるときもあります。<訓> 
→見ていると、押さえたり、離したりしていますね。ずっとやっているのですか。
 声を出すときはずっとしています。息を吸うときは緩めて、声を出すときに押さえています。<訓>
 1時間ぐらいで皆さん痛みを感じるのですか。
 それは人それぞれだと思います。<訓>
 自分で押さえ方を工夫して、痛みの出ない方法を探してみてください。

 

― 声が出にくい ―
O・Sさん(69歳) 空腸移植 
 私は話をすると喉の具合があまりよくないので、スムーズに声が出るような薬でもあれば良いと思います。それとも精神的なことですか?
 声が楽に出るような薬は、今は市販されてないと思います。あくまでも食道発声時の練習をしているときのことだと思います。先ほどのスピーチ発表会では、喉を押さえていませんでした。ご自分では押さえても押さえなくても、同じだと言っていましたが、しばらくは押さえて楽に発声した方が良いと思います。<訓> 
 喉摘後の副作用を楽にする薬、皮膚を柔らかくする薬はありますが、喉を楽にする薬は知りません。

 

― 下歯肉がん摘出者の食道発声 ―
T・Tさん(68歳) 胃管吊上
 今回、喉頭摘出と同時に下歯肉がんの摘出を行いましたので、食事のケアと気管孔のケアをしなければいけません。食道発声の訓練をしていますが、下の歯がないために発声にかなり影響が出るのではないかと心配しております。何か方法があるでしょうか。
 新しく作った新声門から音が出るのは問題ないですが、音が出た後の構音に問題が残るので、指導員と相談をした方が良いと思います。「あいうえお」の音自体問題なく出るはずです。音が舌の動きとか口の大きさとか、構音の状態で上手くいかなくなると思います。手術を耳鼻科か口腔外科かわからないが、口腔外科であれば土手があるので、それを上手く使って構音ができやすいような工夫ができるのではないかと思います。耳鼻科ならばこういう状態なので方法がありますかと聞いたうえで、できれば口腔外科の先生に診てもらって、嚥下とか発声、構音とかの知識があるので主治医と相談すれば良いと思います。

 

― 雑音の矯正法 ―
M・K さん(67歳) 単純喉摘
Q 吸い込むときの「ウグー」という雑音は前から気になっていました。慌てて入れると起こりやすく、柔らかくゆっくりとのことですが、練習以外にないと思っております。
 空気を入れるときの雑音に悩んでいる方は、大勢いらっしゃると思います。初心の段階で、癖をつけないことが一番だと言われますが、なかなかそうはうまくは行かないのが現実です。最初から吸引ができて楽に空気が取り入れられる方もいますが、飲み込みから始めて、注入法で何とか空気を入れようとすると、力が入ってしまい雑音が出てしまうのが普通ですね。上達されて普段は雑音が気にならない方でも、例えば人前でマイクを持てば、緊張して注入音が出てしまうことがあります。これを解消するための特別な方法はありませんが、まずいなと思ったら深呼吸をして肩の力を抜き、ゆっくりと小さな声で話すことを意識してやってください。ある程度慣れてきて余裕をもって発声できるようになれば、雑音も気にならないレベルに収まってくると思います。私も最初は注入音が大きく出ていましたが、上級クラスの頃、歌の練習がスムーズな空気の取入れに効果があったようで、自然に雑音も収まってきたように思います。あまり焦らず力を抜いて、小さな声で意識をしながら練習を行ってください。<訓>

 

― 語尾が消える -
T・Y さん(79歳) 単純喉摘
 語尾明瞭な発声に苦労しています。力を入れず最初の2~3音を軽く発声することだと分かっているのですが、練習以外に方法がないとは思っています。
 語尾が明瞭に発声できないのには、いくつかの原因があります。まず、発声の出だしに力が入ってしまうのが一つ。次に最初の何回かは、空気の取り込みと発声がゆっくりとできていますが、徐々に感覚が早くなってしまうのが一つ。また、どうしても手術前の感覚で喋ってしまいがちになるのが一つ。これらは、どれも食道内の空気が途中でなくなってしまうために、語尾が消えてしまいます。これらをなくすには、ゆっくりと間を取って空気を食道内に入れて、出だしをソフトに発声します。と同時に発声しながらお腹をへこませることにより、語尾までハッキリと声が出るようになります。やはり、練習でコツを掴むことだと思いますので、毎日自分でノルマを決めて練習をするようにしてください。<訓>

 

― 誤発声の矯正法 ―
T・Yさん(67歳) 単純喉摘
 指導方法について教えてください。誤発声が「バッター、バッター」の練習で直るのでしょうか。また、破裂音が出てしまいますが直るのでしょうか。
 私たち、訓練士は会員さんたちの前に座り、どこに力が入っているか、舌の位置は間違いないか、空気は取り込めているかなどをチェックしながら指導しています。それなので誤発声なってしまう前に気が付き、矯正できれば良いのですが間に合わなかった場合、正しい原音を出すように練習をします。先ずお茶のみ法で、空気をしっかり取り入れて練習をしますが、それでもダメな場合は子音注入で、「バッター」とか、語尾を伸ばすことで正しい原音を獲得するなど会員さんの状況に合わせて指導いたします。大事なことは、ご本人の自覚と努力だと思います。誤発声だと注意されても、がっかりせずに正しい声の獲得に頑張ってほしいと思います。そして、自分の耳で自分の声がどう出ているのかを、聞き取ることが重要だと思います。<訓>

 

■ 日常生活に関する質問
― 飲食について ―
A・Oさん(68歳) 胃管吊上
 喉摘手術の20年前に食道がんで胃管吊上の手術をしています。下咽頭がんの手術後、喉が狭くなり食事を飲み込むのに苦労しています。改善されることはあるのでしょうか。またチューブ食になるのが心配です。
 食事をチューブで胃に入れるか、胃瘻になると、個人のQOLが大分下がってしまいます。やはり食べ物を口から入れて味わってほしいと思います。狭い部位と狭さを測定した上で、嚥下のリハビリをすれば良いと思います。嚥下の専門医とか言語聴覚士と共にリハビリをやる病院があります。もう一つは、食事の形態を考えて、食べ物にとろみをつける。狭いと言っても下咽頭は左右ありますから、良い方法は、椅子の上に枕を乗せた位高くしたうえで、少し下を向いて顔を左右に向けるとかの工夫をすると、広い方の下咽頭が良く働くことが考えられます。とろみをつける・姿勢の工夫・嚥下のリハビリを主治医に相談する。また、口腔外科医に相談するのも方法です。

 

A.Tさん(68歳) 空腸移植
 食事のことですが、飲み込みが悪いため水分を補給しながらゆっくり食べています。時間がかかるので外食は家族とは良いのですが、他の人とはためらってしまいます。皆さんはどうされていますか。
 是非、積極的にいろんな方と楽しい時間を持っていただきたいと思います。「こんにちは」と第2の声をお友達に聞かせてあげたら、きっととても喜んでいただけることでしょう。どうぞいろんな方と「こんにちは・ありがとう」と楽しい会話をしてください。また私も、結構食べ物を詰まらせて、失敗がありますので、ご自分のペースで詰まらないようにゆっくり食べて、楽しい時間を過ごしていただきたいと思います。元気に回復している証拠のようで嬉しく感じました。<訓> 
 自分は喉摘者であるということを、カミングアウトしていいはずです。お友達にも理解してもらい、楽しい時間を持てると思います。例えばかに玉でも、柔らかいかに玉を作ってもらい、とろみの汁を乗せるのも良いと思います。また、行きつけの飲食店を見つけるのも良いと思います。

 

N・Tさん(73歳) 単純喉摘
 飲食をすると喉に何かが反応し、イガイガ(むずむず)のような症状になります。最初は小麦粉アレルギー、砂糖、添加物などを考えましたが、これというものが確定できずにおります。
 喉摘者でなくても、食事をしてムズムズすることは結構あることです。アレルギーでなくても心因的に起こることもあるので余り困った症状ではなくそのうちに感じなくなると思います。続くようですと心療内科で相談することも起こりえます。

 

K・Tさん(66歳) 単純喉摘
 食事をすると喉に詰まる感じがあり苦しい。鼻からのカメラでは問題なし。ゲップをすると戻したりします。食欲はあります。
 詰まり感だけであれば心配ない症状で、だんだん取れてきます。実際に詰まるのであれば問題で、狭いところがないかどうかを内視鏡で調べてもらった方が良いでしょう。

 

Y・Kさん(68歳) 空腸移植
 食後、食物の逆流が3~4時間あり、鼻や口から食物が出てしまう。
A 私の経験でも、これほどひどい悩みは珍しいと思いました。原因としては、放射線治療のために、頚部が固いことと、再建された食道に狭いところがないのかを調べた方が良いですね。医学的にどこかの場所に問題があるのかないのかを調べて、問題がなければ嚥下のリハビリをお勧めします。

 

A・Tさん(68歳) 空腸移植
 食事はスムーズに入って行くようになったのですが、少し量を入れると詰まってしまいます。飲み物も少しずつしか飲めません。ずっとこのままなのでしょうか。
 人間の体は不思議で、自然に対応していくことも多いです。何度も言っているように、食べ物の形態に気をつけることです。トロミをつける。胃の中にしっかり入れてしまえば、この症状は治まります。少し時間をおけば大丈夫です。

 

― 入浴について ―
K・Aさん(67歳) 空腸移植
 お風呂で体を流すとき、少し水が入り痰を出す要領で吐き出すことができました。程度によると思いますが、もう少し水が入ったらどうなるのですか。応急処置はどうすれば良いでしょうか。
 入浴時に水が入るということですが、多少シャワーとかで入るのはしかたないのですが、もう少し入ると溺れ、大量に入れば死に至るわけです。反射は残っているはずですから、大量に入る前に咳が出て排出されますので、どうなってしまうのかという心配はないと思います。

 

N・Oさん(59歳) 皮膚移植
 風呂に入るとき水が気管孔より入りやすくむせて苦しいです。何か良い方法はありませんか。
 気管孔に水が入らないスタンスで頭を洗えば良いので、頭を洗うときは、かがんで頭を気管孔より低めにして洗うとか、指で気管孔の上を触ってやるとかすると結構入りません。また、タオルを小さくたたんで気管孔に当てたままシャワーを使う。シャンプーハットを使用しても良いですし、Tチューブを使用するのも方法です。まず頭を低くする、そして、自分にあった方法を試してください。<訓> 
 Tチューブは簡単に入れられますか?
 通常入れている方は、簡単に入れられると聞いています。 <訓> 
 喉頭狭窄にも使いますが、メーカーに頼むと合ったものを作ってくれるので、主治医に話してメーカーに作ってもらえば良いと思います。狭窄に使う場合は全身麻酔で大変ですが、Tチューブの上の方が短くできているし、気管孔が開いているので簡単に入れられるでしょう。*メーカー㈱高研

 

― うがいのコツ ―
I・Mさん(61歳) 胃管吊上
 手術後うがいができなくなりました。何か「コツ」があれば教えてください。
 どうしてできなくなるのかはわかりませんが、喉頭を取るとうがいができなくなります。でも練習をすればできるようになります。コツは食道に溜めて、少しだけ押し込んで、食道発声の要領で腹圧をかけて逆流させてガラガラとやってみる。・・実演・・最初はできないと思いますが、うがいをするんだという気持ちで、毎日少し飲み込んでやってみるとできるようになります。<訓> 
→水はどこまで入っていますか。
→食道の中に少し入ったところまでです。
→普通の人はそこまで入らない。そこまで行くと気管の中に入ってしまう。そういう意味では喉摘者の方が有利とも言えますね。
 Iさんの場合、胃管吊上の手術をしていますね、再建した場合、喉の奥に水を溜めようとしても、落ちてしまう。そういうこともあるかもしれません。<訓> 

― 頚部を押さえるとむせる ―


Aさん(年齢・手術方法不明)
 あごの下を押さえるとむせるんですが、何か関係はありますか。また、防ぐ方法はありますか
 私は手術をして12年になりますが、電気カミソリを使うと咳込んできますが、最初の頃に比べると大分良くなってきました。<訓> 
→ある程度はやむを得ないと思います。僕でもむせることがあります。
→それを聞いて安心しました。

 

■ 日常生活に関する質問
― 気管孔について ―
M・Tさん(75歳) 空腸移植
 放射線治療の影響で首が硬直して辛い。気管孔を放置しておくと狭くなるため、常にチューブを装着している。日に3回程度メンテが必要です。気管孔内部の皮膚がたるみ、気官孔をふさぐことがあり呼吸がしづらくなる。先生からは常時チューブを装着するように言われていますが面倒です。
A たるみをなくす、これはどちらかというと形成外科医にお願いすると良いでしょう。たるみがなくなれば問題がない訳ですから、空気の通り道の狭くなったものとか、食道系の狭くなったものとか形成外科医は非常に丁寧にやってくれますので、主治医に相談をして、一度診てもらえば良いと思います。

 

H・Iさん(75歳) 単純喉摘
 気管孔の径が小さいと言われているが、開口部を一定にすることは可能ですか。
 気管孔拡大手術を受ければ可能です。喉頭を取った耳鼻科医がやることになります。狭いから気管孔の周りの皮膚を取って、気管孔の中の粘膜を外へ出します。口にしても唇は粘膜です。肛門も先端は粘膜です。開けたところは粘膜を少し開いた方が再発は起きない。そういう知識があればちゃんとした手術ができます。狭いと言ってもエンピツ大の太さがあれば小さくても大丈夫です。例えば階段をトントンと上れるようであれば小さくても大丈夫です。もう一つは、内科系にかかって自分の酸素濃度を測ってもらい、血中酸素濃度が95以上あれば、狭いけれども大丈夫と思って良いです。気管孔拡大手術は結構ありますね。人間の体は、孔を開けると自然に狭くしよう、狭くしようとします。それが強い人はいつも狭くなる。それを避けるために粘膜を外に置き、粘膜で引っ張ってあげて、周りを覆うようにすれば狭くならない。これが今まで僕がやってきた気管孔拡大手術です。

 

― ネプライザーについて ―
A.Tさん(68歳) 空腸移植
 手術して1年3か月、吸入吸引を毎日していますが、これからもずっと続けた方がいいのでしょうか。自分で出すことはできますが病院検診の時、吸入吸引は続けた方が良いと言われました。
 今、小型のネプライザーがありますから、そこに水でも良いですが、私は加塩吸入薬を作っておいて使うこともあります。要は湿らせることが基本なので、水だけでも良いのですが、できれば生理食塩水を使った方が良いです。先生も言っているように続けた方が気管・気管支・気管孔に良い影響があります。自分で使い慣れているもので続けてください。

 

K・Yさん(54歳) 空腸移植
Q 気管孔のケアについて、ネプライザーは使用した方が良いのでしょうか、特に注意点がありましたら教えてください。今は使っていません。喉(気管孔)に異常がなくても、ネプライザーは使わなくてはいけない機械なのでしょうか。
 特に痰の問題とか、いつも痰が固まるとかそういうことがなければ定期的に使わなくても良いと思います。鏡で見て、痰がこびりついているような時は、積極的にネプライザーとか自分でやれるような器械もありますから、湿らせてあげれば良いと思います。

 

― 鼻水について ―
M・Hさん(83歳) 単純喉摘
 練習を始めると鼻水が頻繁に出て発声がしにくくて困ります。
 普段はそうでもないのですね。鼻水というのは生理的にいつも出ていて、鼻の粘膜を濡らしていて喉の奥に落ちて、自然に食道へ落ちている。これは自然なことです。考えられるのは、食道発声で、食道へ空気を飲み込むために、鼻汁が食道へ入るのを邪魔しているのかということと、食道発声の練習が、結構強いストレスになっていた場合に自律神経機構に作用して刺激し、鼻汁が大量に出てしまうのかと2つ考えてみました。これらは、時間がもう少し経てば解決すると思います。悩みは大変でしょうが、現疾患に関して影響があるとは考えられませんので安心してください。

 

N・Hさん(84歳) 空腸移植
 鼻水が常に出ている状態です。対処方法についてご教示ください。
 なぜ鼻水が常に出ているのかを調べないといけません。アレルギーの問題とか、普通の鼻炎、副鼻腔炎だったりするから、これらを徹底的に調べてもらってください。試しに病院で処方されなくても、薬局でステロイドの入ったスプレーとかを試してみれば良いと思います。スギ花粉は今日から始まっていますし、あるいは色々な通年性のアレルギーもありますから、そのへんだと思います。困るのは、慢性の副鼻腔炎があって、そこから汚い鼻水が出ているときは、主治医に相談をしてください。

 

― 痰について ―
N・Nさん(71歳) 皮膚移植
 毎日痰が大量に出るのが心配です。特に食事中とその後の喉の締め付けがとてもきつい状態です。1年間が過ぎてもその締め付けが苦しいのですが、少しずつ柔らかくなるのですか。
 放射線治療をしているので、1年ぐらいではなかなか柔らかくならない。マッサージを受けると良いときもあります。経験上すぐに治った人はいませんが、徐々に柔らかくなる希望はあります。

 

H・Tさん(69歳) 単純喉摘
 痰の粘りや量、色が様々なので問題があるかどうか教えてください。
A 痰は柔らかくなったり固くなったり、外部の環境の影響で変化します。普通は透明な白っぽいのが一番良いのですが色々な状態を示します。一つは少し緑色っぽくなったりした場合は、気管支炎か肺炎があるのではないかと、臨床するようにしています。根本的には赤くなければ良い。一部赤い点々が入っていれば、どこかで出血している可能性があるので早急に主治医に相談して、気管、気管支鏡あるいは肺のCTを勧めます。「赤ければ」で、他の色は炎症性のもので、赤くなければ心配はないです。

 

T・Yさん(67歳) 単純喉摘
 喉頭摘出手術を受けた場合、健常者に比べて多く「痰」が出るのでしょうか。
 普通の痰は、気道から出て食道に自然に流れて行っています。これが生理ですね。痰の量が多くなると感じるのは、一つには気管がドライのために、それを防ごうとして、痰が多くなる可能性はあります。気管孔で凝り固まったり、痰が自然に見えたりするのでそういう気がするので、それほど問題はありません。

 

S・Tさん(80歳) 単純喉摘
 食道・気管孔側か判別できないが、絶えず痰が絡んでムセ状態になり、睡眠も強く阻害される。考えられる原因は?
A 食道・気管孔どちらかわからないと言いますが、気道だと思います。痰が固くなって詰まるという状況だと思います。痰に関するお薬ですね。実は、痰と言うのは内科系でいえば、悪いものに思われますが、痰は気管の中に溜まったゴミとかをベルトコンベヤーみたいに毛が動いて排出させるものです。湿り気を十分与えて、痰を止めるということは絶対にしないでください。痰というのは良いものだから、我々は気道液と名前を使っています。健常者の場合の発声でも声帯を濡らしてくれるのも痰、つまり気道液、痰がなければ発声できません。喉摘者の場合は痰が十分働いてくれなければ、汚いものが気管支とかに溜まりやすくなります。痰が健常であれば繊毛運動が働いて排出してくれます。しょっちゅう痰がたまるのは仕方ありません。対処方法は痰を良くする薬があります。痰を柔らかくしたり、粘度を良くしたりする薬がありますから、主治医から処方してもらえば良いでしょう。

 

― イレウス(腸閉塞)について ―
K・Aさん(67歳) 空腸移植
 入会は4月ですが、その後イレウス(腸閉塞)になり入院。6月に退院し9月より本格的に練習に取り組んでいますがなかなか、鼻、口から空気を取り込めません。もう少しスムーズになると良いのですが、教室に来てから、不安なことも先生に教えていただき、発声もいくらか出るようになり、希望が持てるようになりました。
 下咽頭で食道再建の手術をしたわけですね。おそらく移植されたところだと思いますので、頻繁に起こるようであれば、ブジーとかを使って拡張された方が良いと思います。空腸が元々あったところが、狭いのでイレウスが起きやすいのであれば、外科的な問題ですので、食道再建手術をした先生に聞いた方が良いと思います。できれば拡張したいということです。

 

― リンパ節の廓清手術について ―

S・Kさん(71歳) 空腸移植
 現在は左側のリンパ節を切除して練習しておりますが、少し声が出るようになりました。がんの再発で右側も取る予定です。(H29年1月24手術予定)両方取って発声がどうなるか不安です。現在は楽しく指導を受けていて感謝しております。
A 左側のリンパ節の廓清手術。僕が知りたいのは、根本的に頚静脈まで取ったのか、僕は頚動脈も取ってしまうような廓清手術もすることがあります。今度は反対側も再発したので取らなければならない。両側もやると厳しいのですが、放射線治療を受けてないことは幸いです。放射線治療をやっていると皮膚が固くなるので、新声門の動きに多少の影響はあるでしょうが、根本的には邪魔になるようなことはないと思います。再発ですからやらざるを得ないと思います。 

 

― 皮膚移植痕のコブについて ―
N・Nさん(71歳) 皮膚移植
 H28年1月に手術をして皮膚移植をしました。今年1月20日頚部の皮膚移植痕のコブを取る手術をしますが、その後のことが心配です。同じ皮膚移植をした方の意見を聞きたいです。
 移植した皮膚が一部コブ状に膨れ上がったものと思います。切除したコブ状のものが、良性ならば心配ないのですが、同じ皮膚移植をした人で、同じ症状で手術をした人の意見を聞いてみたいのですが、いらっしゃいませんか?
→確認しましたがおりません。
悪いものだと困る。また女性だとコスメティックの問題もありますが、大体悪性になることは少ないので、取ることは賛成です。

 

― Tチューブについて ―
N・Oさん(59歳) 皮膚移植
 訓練士の方は少ないと思いますが、咳や痰が多いです。何か少なくする方法はありませんか。
 咳や痰が多いのは乾燥のためだと思います。乾燥していると、気管をうるおそうとして、どうしても痰の量が多くなります。普通、痰は食道へ自然に流れていくが、乾燥していると気管孔の周りにこびりついて多くなります。乾燥しないように気管孔のエプロンに工夫するとか、室内の湿度を60%以上にすることで防げると思います。

 

― 指先のしびれ ―
I・Tさん(54歳) 胃管吊上
 手術後、指先の微妙なしびれがなかなか取れないのですが、抗がん剤の影響でしょうか。
 抗がん剤の副作用については、抗がん剤も最近変わってきていますので、主治医に確認をしてください。喉頭がんとか抗がん剤の影響だけではないのかもしれません。リュウマチ性疾患か膠原病疾患とかも考えられるかもしれません。

 

― 転移の心配と検査について ―
S・T さん(59歳) 単純喉摘
 喉頭がんになると体の中のどこに転移しやすいですか。日頃どのような検査を受ければ良いですか。
 皆さんの共通した心配で、経過を見なければなりません。僕の手術をした人でいまだに20年30年経っても1年に1回とか、半年に1度経過を診ている方もいます。それは再発とか転移を心配しているからです。一番転移するのは頚部です。後は肺が転移先ですね。下咽頭と食道とかの食道系の場所です。男性ですと前立腺がんが多いのですが、そういうのは2重がんと言って、喉頭がんとは関係ないものになります。ただ、がん体質なので1年に1回ぐらいは、ペットCTとか心配するような場所、直腸とか大腸を検査するのが良いでしょう。日常的には自分で首を触ってみる。喉頭がないので触りやすいし自分でも分かるので、何かしこりがあると感じたら直ぐに主治医に相談するのが良いでしょう。触る工夫をするとマッサージにもなるので良いですね。特に胃カメラ、大腸の内視鏡、前立腺がんに対しては腫瘍マーカーが有効になります。

 

Bさん(年齢、手術方法不明)
Q 私の妻の場合、気にしているのは転移です。手術をして1年になります。先月までは2か月に1回検診をしていました。
→検査は何をしていますか。
→血液検査とレントゲン(胸部)
→頚部のCTはやらない。
→ファイバースコープで直接見ますが見ない時もあります。
→そこを見るためには胃カメラや我々が作った下咽頭鏡で広げて見ないといけません。これはしょっちゅうやる必要はなく、 半年に1回とか見ます。2か月に一回であれば、先ず触診ですね、それと喉頭内視鏡を使って、観察してもらう。胸の写真、頚部のCTですね。これはもう3か月に1回ぐらいやれば良いし、もう1年過ぎてこれからは3か月に1回になるだろうと思います。今は、色々な組み合わせ検査があり、半年に1回でいいだろうと思います。我々は触診と胸の写真でわかるし、体の症状によっては胸の写真もいらないこともあります。医者を信頼していると顔を見に来ると安心して帰ってしまう人もいます。心理的なこともありますから通うことは良いと思います。

 

― 神経痛について -
A・Nさん(76歳) 空腸移植 
 帯状疱疹後、神経痛が長い(2年半)ので、思うように練習ができず困っています。唾を飲んでしか発声できませんが練習して頑張ります。
 ヘルペスのためですね。結構起こり、なかなか治らないと言いますね。薬を色々変えないといけませんが、良く使うのがテグレトールとかステロイドですね。今のがある種の抗うつ剤、これが神経痛、帯状疱疹の残った神経痛に対しては、強い鎮痛剤、抗うつ剤が効果があるので、よく主治医に聞いてください。

 

― 水泳について ―
I・Tさん(71歳) 空腸移植
 プールで泳げる方法はないでしょうか。
 アメリカで聞いた話では、シュノーケルみたいな長い物で自在に動き、カフを付ける方法があるそうです。50メートルとか長く泳ぐのではなく、少し水に入りバシャバシャと数メートル泳ぐ、それで良いのではと思います。人間は4分ぐらい酸素を吸わなくても大丈夫ですが、1分というのは長いですよ。3分ぐらい遊ぶつもりで、我慢しようと思ったら、先ほど言った㈱高研でカフの付いたチューブで蓋のついたものを作ってもらい、それを付ければ水に入れると思います。アメリカのは調べてみますが、この中で工夫してプールで遊んでいる人はいますか、Tチューブで蓋をする、それは下にカフはないでしょう。
<司> オランダの喉摘者が、シュノーケルを付けて泳いでる画像をインターネットで紹介されています。シュノーケルを中に突っ込んで先を口に入れて。
→見たことはないのですが、その中にカフは付いていますか?
<司> 映像だけですからわかりません。
→カフがないと水が入ってしまいますよね。
<司> 何か風船になっていて、ここを締め付けて水が入らないように特殊なシュノーケルのようです。
→締め付けるというのは、手でやるのですか。
<司> 気管孔にシュノーケルの先を突っ込んで、先は口に入れて特殊なようです。鼻で呼吸するみたいです。
→国内で手に入りますか。
<司> わかりません。オランダに行けば手に入るとは思います。それと、昔中村会長(第2代会長)が何も付けずに飛び込んだという記事が銀鈴誌に載っていました。
→すごいですね、一般的にはこわくて、小さいカニューレを作ってもらい、カフを付けて蓋が付いていれば泳げますね。工夫をしてみてください。

 

― 臭覚について ―
I・Mさん(61歳) 胃管吊上
Q 食道発声の上達と嗅覚の回復について教えてください。上達に伴いある程度は回復すると聞きましたが、その兆しがありません。また、福田先生のクリニックで嗅覚回復のための治療、訓練を受けることは可能でしょうか。
A 空気の中の嗅素(匂いの元)が、鼻の奥にある嗅覚神経を刺激する。鼻で呼吸をする普通の人は問題ないのですが、いつも気管孔から空気を吸っている人に聞いたのですが、自然に感じるようになるのが一つ。鼻で吸う練習をすれば感じるようになる。それと食事というのは何がおいしいかというと、匂いというのが大事ですので、吸う練習を続ければよいと思います。

〈大貫榮二 担当〉