平成26年度 遠隔地巡回研修会


平成26年度の遠隔地研修会は日本財団の助成を受け予定通り終了致しました。


平成26年度 遠隔地巡回研修会の実施報告


今年も日喉連に加盟する喉摘者団体からの要請を受けて、遠隔地食道発声巡回研修会を開催致しました。
この研修会は離島者を含め種々な理由から食道発声の適切な指導が受けられない方達の所属する喉摘会へ銀鈴会の講師を3日間派遣し食道発声の基礎から始め、各個人レベルに合った指導を行い大変喜ばれております。
また、研修に要する費用については日本財団様から公益性が高い事業と認めて頂き、数年に亘り助成支援を受けて開催出来る受託事業です。紙面を通じお礼を申し上げます。


尚、平成26年度の研修会は、茨城県茨城甦声会、鹿児島県鶴鈴会、愛知県愛友会の3ヶ所で開催しました。
 この研修会の一部をご紹介します。
 1、研修日数は3日で朝9時から午後3時まで各自のレベルに合わせた指導を致します。
 2、研修会の参加に直接必要な交通費や宿泊費などは基準に従った実費相当額を支援しています。
 3、現地発声訓練士と派遣講師がお互いに所有する情報等について共有化する場です。訓練士の方々は多くの情報を得て会員

  さんの早期社会復帰のお手伝いをしています。食道発声の指導で尤も大切なのは、会員さんが如何なる手術を受けたかを

  知る事です、また、会員さんの発声を的確に評価できる観察力を養い指導力を磨くために情報交換は欠かせないのです。
 4、短い研修期間の成果として、即効果の出た方、更に練習が必要な方が居られます。 食道発声の習得には個人差がありま

  す、焦らず、根気よく日々の練習を積み重ねて、何時の日か手術前のような滑らか食道発声を身に付けて欲しいと願い研

  修会は終了しています。


各地の報告


茨城甦声会



1.派遣講師 松山雅則・太田時夫・中村マリ子
2.開催時期 平成26年11月25日から28日
3.開催場所 ホテルグランド東雲
4.参加者 斉藤ミツエ会長他延受講者52名
5.総評
食道発声の基本及び実演による練習を見て貰い、段階を追って練習を重ねていく事を理解して貰いました。語尾が消える、誤発声気味、規則的な息継ぎをしない等細かく指摘し、より良い発声法を学んで貰い、入会6ケ月経っても原音発声の出来ない方が最終日に「はっきり」した原音の連続発声を披露し全員を驚かせました。中級、上級クラスの会員の中にも、吸引時の雑音や語尾が消える癖のある方も居られましたので、腹式呼吸の徹底練習を実施し研修成果発表会では文章がすらすら読めるようになりました。


◇「遠隔地巡回研修会を開催して」


茨城県茨城甦声会 会長 斉藤ミツエ


茨城甦声会では、会員が減少し参加会員は少数でしたが、中身の濃い研修を受けられた事に、会員一同大変喜んで居ります。
講師の方々が一人ひとりに向き合い丁寧に指導して下さり、又食道発声の応用や種々の訓練の仕方に、各会員が再認識していました。
教室では、一音も出なかった人が講師の指導により一音出た時の感動が、その後の訓練の力になりました。講師の方より指導の中で発声訓練を楽しくやると効果が出ると云われて反省した次第です。
研修会へ参加した事で、各会員の訓練に目覚ましい進歩が見られる様になりました。研修会で学んだ事を、今後の活動に役立てていきたいと思います。
この研修会でお世話になった講師の方々、日本財団様、公益社団法人銀鈴会様に感謝申し上げます。

 


鹿児島県鶴鈴会


 

○ 鹿児島県鶴鈴会
1.派遣講師 新美典子・川村二三男・鈴木正子
2.開催時期 平成26年11月30日から12月3日
3.開催場所 鹿児島県社会福祉センター
4.参加者 宮永宣夫会長 他延受講者41名
5.総評
 鶴鈴会の会員さんには屋久島、種子島、奄美諸島などの有人離島者の方も居られます。週1回の船便で発声教室に来ても帰宅は翌週迄待つ方や、陸続きであってもバス等を乗り継がないと発声教室に行けず、とても毎回の教室には通えない方達は最初から代用音声の習得を諦めてしまう方が多いと伺いました。今回も前回の研修会以来2年ぶりの食道発声指導を受ける会員さんも来られています。 
今後の離島者対策として、食道発声のDVD習得教材を活用して頂くように提供して来ました。また、高齢者の会員さんにはEL発声を薦めるなどの対策も必要と感じました。


◇「たったひとつの言葉」

 

 鹿児島県鶴鈴会  会長 宮永 宣夫

 

「お茶」というたったひとつの言葉でも、自分の言葉として言えた喜びは、その人にとって夢にまで見たうれしい言葉、叫びだったのかもしれません。
3日間の「遠隔地巡回研修会」を終えた最終日、遠く400キロ離れた奄美大島から参加した受講生は、大きな拍手を受け顔をくしゃくしゃにしながら会場の人達に頭を下げました。再建手術という重い症状を乗り越えての
参加であれば、ひとりで出席することは難しく、同伴者との出席になりましたが、もう一回会話のできる生活を取戻したいと願う熱い思いが伝わってきます。そして光が見え始めているのです。これから帰る14時間の船旅は、きっと心弾む船旅になったと思います。
改めて、この研修会にご支援いただいた日本財団、銀鈴会に心からお礼を申し上げます。

 


愛友会


 

○ 愛友会
1.派遣講師 秋元洋一・木村 孝・大場知恵子
2.開催時期 平成27年1月26日から29日
3.開催場所 愛知県がんセンター
4.参加者 石川勝己会長他延61名
5.総評
声が出始めると会話をしたい気持ちは分かります。しかし、食道発声では常に相手の立場で分かり易く間合いをしっかり取り明瞭度のある発声を心掛ける姿勢を持つことを忘れてはいけません。愛友会の会員さんの中にも「語尾が消える」「空気の取入れで口をもぐもぐ繰り返す」「明瞭度が極端に悪い」等の悪い癖がなかなか改善出来ない方が居られます。短期間ですが、指摘事項の改善方法等を提案し練習を重ねて頂き、かなり改善を図れました。食道発声の習得は教室の指導と自宅での練習方法で成果が決まります。早期の悪い癖は「早く会話したい」気持ち等から身に着きやすいのです。


◇「遠隔地巡回研修会を開催して」

 

愛知県愛友会 会長 石川勝己

 

今回は主に、初心者、初級、中級、およびラリンクスクラス食道再建の方々が参加しました。それぞれ、発声レベルや手術部位に合わせて、集中的に根気よく効果が上がるように、ご指導していただきました。矯正すべきところ、上手く出来たところをチェックしていただき、今後の発声訓練に役立てたいと思います。とくにラリンクスの方が先生のご指導により食道発声に変更され翌週よりアイウエオの声がよく出来るようになり、ました。本人も大きな声が出て、一生懸命努力しています。参加されました会員さんも指導員の先生と一対一の指導方法に感激しておりました。ここで学んだ経験を、今後に生かして一人ひとりが早く日常会話ができるように発声訓練に励みます。
愛友会会員一同感謝申し上げます。