会長挨拶


昨年度は熊本地震に始まり数々の災害に見舞われた日本でしたが、銀鈴会ではすべての行事を無事に終わらせることが出来ました。
喜ばしいこととして昨年11月、日本喉摘者団体連合会(日喉連)が社会貢献者表彰を受賞し、安倍昭恵会長から表彰状と副賞の栄誉を受けることができました。銀鈴会のような喉摘者団体の活動が社会に評価された証(あかし)と喜んでいます。日頃、活動を支えてくださっている会員の皆様には改めて感謝いたします。
 
日本での最初の喉摘手術から106年が過ぎ、先人たちはどんなに不自由でも自分の力で自分の肉声で会話できれば障害者の引っ込み思案をはねのけ、社会復帰が可能と考え、発声器具に頼らない食道発声を訓練の柱としてきました。おかげでこの60年余の間に幾万人もの喉摘者が恩恵を受けました。同じ病気の同じ苦しみを経験してきた訓練士による指導だからこそ共感し、信頼され、成果を上げることができたと思っています。
 
最近は喉頭がんの早期発見や放射線、抗がん剤治療への移行で手術が減り、入会者も大幅に減少しています。発声方式も高齢化に伴うEL発声、職場復帰を急ぐシャント発声など多様化しています。スマホなどのSNSの利用で、敢えて声を出さなくてもコミュニケーションが取れるようにもなりました。
 
銀鈴会ではこうした変化に合わせて「楽に楽しく」をモットーに、より実用的な発声をめざしております。会員さんの高齢化に備えて食道発声やシャント発声とEL発声の2方式併用発声の習得も勧めております。会員さんが減少して財政が厳しくなる中、物品販売や賛助会のように全国展開が効果的と思われる活動は日喉連に集約し、銀鈴会と日喉連の活動の棲み分けも進めていきます。
 
咋年から銀鈴会が中心になって進めてきました日喉連のPRビデオが完成いたしました。手術前、手術後の患者さんを勇気づけ励ますと共に世間の皆様の理解と協力をお願いし、会員減少の歯止めと賛助会員の支援による団体の体質強化を意図したものです。
 
このDVDは喉頭摘出手術前後の身体的変化や、先輩喉摘者の発声訓練状況および術後の生活状況を映像化したものですので、命と引き換えに喉頭摘出手術の宣告を受けた手術前の患者さんの決断と覚悟、そして手術後の患者さんの立ち直りのきっかけになればと願っています。現在、喉摘手術実施病院や関連の看護学校などに配布しているところです。
 
日本はすでに世界のどの国も経験したことのない超高齢化社会を迎えており、団塊の世代が75歳以上になる2025年には65歳以上が3700万人で人口の30%、75歳以上の高齢者が2200万人になります。そのうち要介護が700万人と言われ、障害者も800万人います。若い人たちには生産的仕事で日本を支えてもらわねばなりません。元気な高齢者が、介護を必要とする高齢者や障害者を世話する時代になるのです。介護施設や病院は介護士や看護師でなくてもできる仕事はできるだけ元気な高齢者に任せ、若い介護士や看護師はより専門的な仕事に注力して超高齢化社会に対応しようとしています。
 
喉摘者も社会や家族に甘えることなく自分にできることは何なのか、今一度見直して高齢者の役割の一端を担う気概が不可欠であることを付け加えておきます。
 
今年度も皆様のご支援、ご協力を引き続き宜しくお願いいたします。

公益社団法人銀鈴会会長 松山雅則