平成25年度 遠隔地巡回研修会


平成25年度の遠隔地研修会は日本財団の助成を受け予定通り終了致しました。


平成25年度 遠隔地巡回研修会の実施報告
 
                                              副会長 秋 元 洋 一
   
今年も銀鈴会の主要事業である遠隔地食道発声巡回研修会を開催致しました。この巡回研修会は、離島者を始め様々な理由から食道発声の指導が受けられない方々や発声困難者の方を救済できる事業として毎年継続し成果を挙げています。 
 研修期間は3日と短いですが、早朝9時から午後3時過ぎまで現地発声訓練士と共に時間を忘れた集中訓練の場となっています。

 

研修最終日には参加者全員による研修成果を披露する場面もあります。当初全く声の出なかった方が原音や2・3音発声に成功すると良かったなと言うように温かい拍手が会場を包み和やかさが倍加します。
 研修会最後のご挨拶では、上達への近道は無く、毎日の練習を欠かさず実行した方が早期社会復帰をされています。健康に留意され練習を楽しみましょうと結び散会しました。

一方、当事業を支えて下さるのは日本財団様です、助成交付審査委員会では、社会的貢献度の高い継続事業活動として毎年ご支援頂いている事に感謝しお礼申し上げます。
さて、平成25年度は、群馬県群鈴会・石川県石川喉友会・高知県高知喉友会に赴き、各会のご協力を得て計画通り実施出来ました。 

 

何れの会も事前準備をしっかりなされ参加会員さんと両発声訓練士が一丸となり課題解決に取り組んでくることが出来ました。
研修成果が直ぐ出た方、若干時間を要する方と居られましたが、根気よく課題を解決する気持ちで取り組くむ姿勢が望まれます。


群馬県群鈴会


 

  1.  派遣講師 秋元洋一、安藤美恵子、大場知恵子
  2. 開催期間 平成25年10月20日から23日
  3. 開催場所 太田市 福祉会館
  4. 参加者 跡路会長他延受講者 53名
  5. 総評
群鈴会の発声教室は太田市と前橋市にあり、今年は太田教室を中心とした会員さんとご一緒させて頂きました。
研修会は跡路会長の開講挨拶に続き簡単な食道発声の説明からスタート。個人指導では、原音発声が出ない方には手の動作を加えて頂きリズムかるに発声する方法を試して貰います。単音の出る方には、同一音を繰り返す発声練習方法で、新声門が鍛えられ安定した発声に繋がりますと説明、皆さんしきりに頷いて居られました。
また、食道再建者で、原音が出ない方には頸部を抑えて貰い上手く声が出た時は周囲の参加者から拍手を貰い、ご本人の笑みが印象的でした。今後は練習を続けますと書いたメモを頂戴してきました。食道発声の経験が3年以上の方でも日常会話が上手く出来ない会員さんの悩みは、空気の量と言葉の量のバランスが悪く明瞭度も下がっています。早速言葉の間合いを取って貰い、ゆっくりしたテンポで会話をして貰う事を繰り返して改善が図れました。

 

◇群馬県群鈴会会長 跡路孝一郎様
 
遠隔地食道発声研修会に参加して良い勉強が出来ました。参加者の中には声が全く出ない方が数人おりましたが、最終日までに全員一音がでていたのには正直驚きました。

上級者の朗読で、初めは棒読みだったが読み続ける事でアクセントやメリハリが出て間の取り方が改善され聴き易くなった。この研修会では日本財団や銀鈴会及び、3日間先生方、本当にありがとうございました。

 


石川喉友会


 

  1. 派遣講師 斉藤康夫、大井卓雄、中村マリ子
  2. 開催期間 平成25年11月19日から22日
  3. 開催場所 金沢マンテンホテル
  4. 参加者  酒井会長他受講者50名
  5. 総評
食道発声の基本及び実演による練習を見て貰い段階を追って練習を重ねてゆく事を理解して貰った。各会員のレベルごとの指導方法を実際に指導を通して学んで貰い、指導の統一の大切さを学んで貰った。
原音の出ない3名の会員が最終日に2~3音をはっきり発声し、本人を始め関係者一同が今回の研修成果を強く感じた。
指導員及び会員全体的にレベルが高く、より一層のスキルアップを期待する。能登半島の突端に住む会員は教室に通う事が困難と言う問題点が有った。
 
◇石川喉友会 会長 酒井英次様
 
石川県は南北に縦長の地形にて、日頃から能登地区の発声訓練希望者には、何かと不便をかけておりました。
今回の遠隔地発声訓練研修会では、専ら筆談に頼り母音の一つも出なかった人達が、銀鈴会様の先生方による熱心なご指導で、2日目には2音まで発声出来る様になり、微笑みながらイキイキとした姿を見て感動しました。
私ども指導員も、理論や理屈だけでなく、初心者一人ひとりの身になって、きめの細かい発声指導が大切であると教え頂きました。
またこの研修会の様子は、地元新聞にも取り上げられ、大きな反響を呼びました。
現在の発声訓練教室では、参加者も多くなり熱気に溢れた雰囲気となっております。
この研修会で貴重な体験をさせて頂いた事を日本財団様と公益社団法人銀鈴会様に感謝申し上げますと共に、今後の発声訓練に活かして参りたいと思います。
 


高知県喉友会


 1派遣講師 川村二三男、木村 孝、鈴木正子
 2開催期間 平成26年2月3日から6日
 3開催場所 高知サンピアセリーズ
 4参加者  西尾会長他延受講者68名
 5総評
地方に行くとELの依存度が高く、食道発声への認識や習熟度が今一つである事は以前から感じていたが、高知県では、それを特に強く感じた。
今回は、食道発声に対する認識を改めて頂いた事と、具体的な練習方法の紹介が出来た。指導員が多数参加された、香川県・愛媛県・島根県から指導員に対する指導の要望が寄せられ、銀鈴会におけるお茶のみ法から初心、初級、中級、上級の具体的な指導方法から、空気の取入れ方を画像や映像で紹介した。
また、地方では教材や生活用品の情報も少ないので、今回銀鈴会のホームページを通じて各種教材や用品の購入方法などを紹介出来たのも一つの成果だと思う。
 

◇高知県喉友会  指導員 北村繁喜様

 

自分の指導力は非力で、もっとソフトに指導していたら、会員さんの上達に繋がっていたと感じ、今後は手を使ったり、言葉の表現を変えて、その人にあった指導をしていきます。ELも否定できませんが、1音でも2音でも声を出させてあげたいので、もっともっと指導方法を考え、一つでも多くの引き出しを作り、多くの人に対応できる力を持ちたいと思います。他県の方を指導してみて、いつもと違う角度からアプローチすると、小さな事なのに大きな変化を自分でも感じました。マニュアルだけでは通用しない。一人ひとりにまっすぐに向き合って練習することの大切さを痛感しました。またいつか研修会に参加したときは少しでもレベルアップした自分を見せられたら、と思います。

 

 

 

「初めて遠隔地研修に派遣講師として行ってみて」

大場 知恵子

初めての遠隔地研修に行ってきました。声をまだ出せない会員さんの小さな声が聞こえた時の喜びは、もしかしたらご本人以上かも知れません。何をすれば良いのか、不安だったのですが、教室での指導と変わらずに出来たのは、声を失った私達の目的が一緒だからでしょう。自由に、誰とでもお話が出来るようになりたいと言う事だと思います。声が出始めの人の課題としては、癖をつけない事だと考えていますが、自分の声を自分でしっかり聞いてあげて下さいを最後の指導として、帰ってきました。
指導員としてとても良い勉強が出来たと思っています。