「障害者差別解消法」に関して…ちょっと胸痛い体験

訓練士 篠田乃武子 

以前BSハートネットで「障害者と戦争」というドキュメント番組を観ました。

ナチスドイツでの現実もさることながら、日本でも一つの例として当時「精神薄弱児」と呼ばれた子供達が集う「藤倉学園」という施設が大戦前から東京都大島にあったそうです。戦争がひどくなると、温暖な大島から山梨県の当時荒地の清里の山の中に強制疎開させられ、飢えと寒さで3分の1の子供達が命を落としたそうです。戦争という波に翻弄され、社会、家族から疎まれた子供達と、その子供達を守ろうとする職員の方々の必死な姿が見て取れた番組でした。終戦後、逞しくも生き残れた子、職員の方々は大島に戻ることができたようです。少し救われました。

これらの番組を観た後「声がでないくらい何だ、何てことないヨ!」と思いました。が、しかしながら、現実に当事者になると実に勝手なもので、心穏やかではない!ことを思い知らされたのも現実でした。

 

私事ですが…上級クラスに昇格したときのことです。友人仲間が食事会を開いてくれました。お酒も入り、少々お喋りになっていたことは事実です。しばらくすると、後ろのテーブルの中年カップルが「変な声で落ち着かないから席を換えてもらいましよう!」とウエイターを呼び、席を移られました。私はすぐに筆談ボードに替えました。


少しくらい会話ができたから!と調子に乗ってしまったこと、何とか仲間に聞いてもらいたくて、ガーガーと無理に大きな声を出して伝わっていた!と大きな勘違いをしまっていたことは大いに反省するところです。帰りに友人たちの「気にすることないヨ、がんば!」という暖かい言葉に感謝したのです。それでも、その時のカップルの顔は忘れられません。と、同時に「もっと楽に会話ができるようになりたい!」とも思いました。 細いことはまだまだありますが、健常者には想像できない、耳慣れない声が不思議に聞こえるのも仕方ないのかもしれませんネ。 
      
つい最近も、ある施設で「この世の中に障害者はいらない!」と、19名殺傷という理不尽な事件がありました。その後、盲導犬を連れた視覚障害者の方がホームから転落し命を落とされました。そんな時、私達はどのような態度をとったらよいか、どう接したらよいか、また、障害者自身がどうして欲しいか!を考え直す機会が与えられたのではないでしょうか。


今年4月、「障害者差別解消法」が実施される運びとなりました。ここに至るまで大変なご努力、ご尽力をされました多くの関係者の方々に心から感謝する次第です。   

そして明日9月8日からリオで「パラリンピック」が始まります。心から応援したいと思います。

2016.9.7 記 


内閣府 障害者差別解消法について


http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/sabekai/leaflet2.pdf

 

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